英語が得意な人は“暗記”しない。動詞を「動き」と「状態」で捉える、魔法の単語学習術

分厚い単語帳。終わりの見えないリスト。そして、昨日覚えたはずの単語が、今日にはもう頭から消えている絶望感…。
「もうムリ、自分には才能がないんだ…」
もし、あなたが今、そんな風に英語学習の壁の前でうずくまっているのなら、この記事は、かつての私から、あなたへの“手紙”です。
大丈夫。これからお伝えするのは、小手先の暗記テクニックではありません。すべての動詞を、たった2つの種類「動き」と「状態」に分けるだけで、言葉の“本質”がすんなりと頭に入ってくる、魔法のような学習法です。
もう、英単語と戦うのはやめにしましょう。今日から、言葉と“友達”になる方法を、お教えします。

【極意】動詞は「動き」と「状態」の2つしかない
あなたは、日本語を話すときに、単語の意味を一つひとつ考えていますか? きっと、無意識のうちに言葉の「感覚」をつかんでいるはずです。
それと同じ感覚で、英単語も捉えてみましょう。 英単語の中でも、特に動詞は、たった2つの意味に集約されます。
それは…
- 「動き」
- 体を使って表現しやすい動詞のこと。(例:走る、食べる、書く)
- 「状態」
- 体で表現するのが難しい動詞のこと。(例:感じる、知っている、信じる)
この2つの感覚を意識するだけで、単語の持つ本質的な意味がぐっと理解しやすくなります。
動詞の「動き」と「状態」を理解する5つの例文
単語の「動き」と「状態」の感覚をつかむために、簡単な例文を見ていきましょう。 それぞれの文で、動詞が「体の動き」を表しているのか、「心の状態」を表しているのかに注目してください。
1. run(走る)
- 「I run in the park.」
- これは、体が動いていますよね。公園で「走る」という行動を表す「動き」の動詞です。
2. eat(食べる)
- 「I eat sushi.」
- これも、口や手を動かして「食べる」という行動を表す「動き」の動詞です。
3. like(好き)
- 「I like cats.」
- 猫が好き、という気持ちは、体では表現できませんよね。「好き」という心の状況を表す「状態」の動詞です。
4. know(知る)
- 「I know him.」
- 彼を知っている、というのも、体ではなく頭の中で理解していることですよね。「知っている」という状況を表す「状態」の動詞です。
5. feel(感じる)
- 「I feel sleepy.」
- 眠い、という感覚も体ではなく心や頭で感じますよね。「感じる」という状況を表す「状態」の動詞です。
このように、動詞を「動き」と「状態」のどちらかに分類することで、単語の意味をより深く理解し、記憶に定着させることができます。
【実践】「〜な状態」と和訳してみる
単語の「動き」と「状態」を区別する練習をしてみましょう。
たとえば、「He feels happy.」という文章。 あなたは、どう訳しますか?
「彼は幸せに感じる。」 これでも間違いではありませんが、動詞が「状態」を表すことを意識して、少しだけ和訳を変えてみましょう。
「彼は幸せな状態を感じる。」
どうですか?少し不自然に感じるかもしれませんが、こうすることで単語の持つニュアンスや、その人が「今、どういう状況にいるのか」がより鮮明にイメージできるようになります。
このひと手間が、単語を深く記憶に刻み込む鍵になります。
「〜な状態」と和訳する練習:5つの例文
動詞が「状態」を表すとき、日本語に「〜な状態」という言葉を加えて訳してみましょう。この練習で、文のニュアンスがより深く理解できます。
1. I know the answer.
- 普通の訳: 私は答えを知っている。
- 「状態」を意識した訳: 私は答えを知っている状態だ。
「知っている」という感覚は、頭の中にある情報なので、「知っている状態」と捉えることで、単なる暗記ではなく、言葉のニュアンスを理解しやすくなります。
2. He has a cat.
- 普通の訳: 彼は猫を飼っている。
- 「状態」を意識した訳: 彼は猫を持っている状態だ。
「持つ」は「動き」のように見えますが、ここでは「猫を飼っている」という状況を表しています。「持っている状態」とすることで、所有している状況が明確になります。
3. She likes dogs.
- 普通の訳: 彼女は犬が好きだ。
- 「状態」を意識した訳: 彼女は犬を好きな状態だ。
「好き」という気持ちは、心の中にあるものです。「好きな状態」と意識することで、その人の気持ちや状況がより深く伝わってきます。
4. They love pizza.
- 普通の訳: 彼らはピザが大好きだ。
- 「状態」を意識した訳: 彼らはピザを大好きな状態だ。
「大好き」も、「好き」と同じように、心の中の状況です。「大好きな状態」と捉えることで、彼らが今どんな気持ちでいるのかがはっきりします。
5. We feel tired.
- 普通の訳: 私たちは疲れていると感じる。
- 「状態」を意識した訳: 私たちは疲れている状態を感じる。
疲れているという感覚は、体全体で感じる「状態」です。「疲れている状態」とすることで、単なる「感じる」ではなく、その状況が具体的にイメージしやすくなります。
【応用】多義語は、もう怖くない
「get」や「have」のように、辞書を引くとたくさんの意味が出てくる単語に、頭を抱えたことはありませんか?
それは、あなたが「動き」の意味ばかりに注目し、「状態」の意味をおろそかにしているからかもしれません。
多義語も、「動き」と「状態」の2つの側面から捉えることで、すべての意味を丸暗記するよりも、はるかに効率的にマスターできます。
単語の丸暗記に頼らず、言葉の持つ本質的な意味を捉える。 あなたの「もうムリ…」という気持ちを、この方法がきっと変えてくれます。
多義語の「動き」と「状態」を使いこなす5つの例文
多義語を覚えるのが難しいのは、辞書に書かれたたくさんの意味をバラバラに覚えようとするからです。しかし、多義語も「動き」と「状態」の2つの側面から捉えることで、効率的にマスターできます。
1. Get
「Get」は「手に入れる」という動きと、「〜な状態になる」という状態を表します。
- 動き: I get a coffee. (私はコーヒーを手に入れる。)
- 状態: I get sleepy. (私は眠い状態になる。)
2. Have
「Have」は「食べる・飲む」という動きと、「持っている」という状態を表します。
- 動き: I have breakfast. (私は朝食を食べる。)
- 状態: I have a car. (私は車を持っている。)
3. Go
「Go」は「行く」という動きと、「〜な状態になる」という状態を表します。
- 動き: I go to school. (私は学校に行く。)
- 状態: The milk goes bad. (その牛乳は悪い状態になる。)
4. Make
「Make」は「作る」という動きと、「〜な状態にする」という状態を表します。
- 動き: I make a cake. (私はケーキを作る。)
- 状態: This song makes me happy. (この歌は私を幸せな状態にする。)
5. Keep
「Keep」は「保つ・置く」という動きと、「〜な状態のままでいる」という状態を表します。
- 動き: I keep a key in my pocket. (私はポケットに鍵を入れておく。)
- 状態: Keep quiet. (静かな状態のままでいる。)
まとめ
今回は、英単語の丸暗記に苦しむあなたを救い出す、「動き」と「状態」という、たった2つの視点ですべての動詞を理解する学習法をご紹介しました。
英語が本当に得意な人は、単語を「暗記」しません。言葉が持つイメージやニュアンスを、丸ごと「理解」しているのです。
最後に、あなたの英語学習を、今日から変える「3つの真実」を、もう一度心に刻んでください。
- 全ての動詞は「動き」か「状態」のどちらかである
- このシンプルなフィルターを通すだけで、単語の持つ“魂”が見えてきます。
- 「〜な状態」という言葉が、理解の補助輪になる
- 状態動詞を訳す時、この言葉を添える癖をつけるだけで、単なる訳語ではなく、その単語が持つ「状況」をイメージできるようになります。
- “get”のような多義語こそ、この考え方で攻略できる
- 複数の意味を持つ単語も、元をたどれば「動き」か「状態」のどちらかです。この考え方があれば、もう辞書の長い説明に怯える必要はありません。
あなたは「記憶力が悪い」のではありません。ただ、本当の「学び方」を知らなかっただけ。ぜひこの新しい視点で、単語帳をもう一度開いてみてください。昨日までとは全く違う、ワクワクするような言葉の世界が、あなたを待っているはずです。