「ロードバイクはオワコン?」業界が衰退していると言われる3つの絶望的な理由
「最近、ロードバイク乗り減った気がしない?」 「昔ほどSNSで盛り上がっていないような…」
週末のサイクリングロードや峠道で、ふとそう感じたことはありませんか? かつて「弱虫ペダル」ブームで社会現象となり、コロナ禍では「最強の趣味」として持て囃されたロードバイク。しかし今、その熱気は急速に冷めつつあり、SNSやGoogle検索では「ロードバイク 衰退」「オワコン」という不穏なワードが飛び交っています。
なぜ、あんなに輝いていた趣味が「衰退」と言われるようになってしまったのか? そこには、単なるブームの終焉だけでは片付けられない、業界が抱える3つの構造的な「絶望」がありました。
「貧乏人は乗るな」と言わんばかりの価格高騰
最も大きな要因は、異常なまでの価格高騰です。

「105組」が庶民の手の届かない場所へ
かつて、初心者が最初に目指すべき基準は「シマノ105コンポ搭載のアルミロード」でした。数年前までは15万円前後で買えましたが、現在は25万円〜30万円が当たり前です。 カーボンフレームに電動変速(Di2)を求めれば、平気で50万円〜100万円を超えます。
- 円安の影響: 海外ブランドが中心のロードバイクは、円安の直撃を受けています。
- 原材料高騰: カーボンやアルミ、輸送費の高騰が価格に転嫁されています。
「自転車に30万?」と一般人が引いてしまう価格帯になり、新規参入のハードルがエベレスト並みに高くなってしまったのです。
進化しすぎて「自分で直せない」複雑化
技術の進化が、皮肉にもユーザーを遠ざけています。
「フル内装」と「ディスクブレーキ」の罪
見た目をスッキリさせるためにケーブル類をハンドルやフレームの中に隠す「フル内装」や、制動力の高い「ディスクブレーキ」が標準化しました。 これにより、プロショップですら整備に時間がかかり、工賃が高騰。ユーザー自身でのメンテナンス(DIY)はほぼ不可能になりました。
- 維持費の増大: 昔は自分でワイヤー交換ができましたが、今はショップに頼まざるを得ず、ランニングコストが跳ね上がっています。
- 重量増: ディスクブレーキ化により、エントリーグレードのバイクは以前より重くなり、「軽快さ」というロードバイク最大の魅力が薄れています。
「ガチ勢」のマウント合戦と閉塞感
SNSを中心とした文化の変化も、衰退の一因と言われています。
「速さ」と「金額」の数値化
パワーメーターの普及やStrava(走行記録アプリ)により、「何ワット出せた」「機材にいくら掛けた」という数値でのマウント合戦が過熱しました。 「ゆるく走りたい」という層に対し、「その機材じゃ遅い」「ポジションが悪い」といった指摘が飛び交い、初心者が「怖い」「めんどくさい」と感じて離脱しています。
結論:業界は「淘汰」と「再編」の時期へ
ロードバイクという趣味自体がなくなるわけではありません。しかし、「誰でも気軽に始められるブーム」は完全に終了しました。
これからは、本当に自転車が好きな人たちが、流行り廃りに関係なく楽しむ「成熟期(または停滞期)」に入ったと言えるでしょう。 もし今から始めるなら、最新の高級機材にこだわらず、中古市場を賢く利用したり、クロモリフレームでゆったり走ったりと、「業界の流行に乗らない楽しみ方」を見つけることが、長く続けるコツかもしれません。
本記事の執筆にあたり、以下の客観的なデータや報道を根拠としています。
1. シマノ(SHIMANO)の決算報告
- ソース: 株式会社シマノ 2024年12月期 第1四半期決算短信
- 内容: 世界最大の自転車パーツメーカーであるシマノの自転車部品売上高が、前年同期比で約22%減少しています。これは世界的な市場在庫の滞留(売れ残り)と需要の減退を明確に示しています。
2. 帝国データバンク「自転車販売市場」調査
- ソース: 帝国データバンク 自転車販売市場の動向調査(2023年度)
- 内容: 2023年度の自転車販売市場は、物価高による買い控えや、電動アシスト自転車への需要シフトにより、スポーツサイクル中心の店舗が苦戦。過去最多ペースでの倒産・休廃業が報告されています。
3. 海外大手通販の破綻(Wiggle/CRC)
- ソース: Global Cycling Network (GCN) 等の報道
- 内容: ロードバイクユーザーの多くが利用していた世界最大級の通販サイト「Wiggle」の親会社(Signa Sports United)が2023年に経営破綻。これは世界的な「コロナ特需の終わり」と「在庫過多」を象徴する出来事として業界を震撼させました。

