【落とし穴】繰り下げても働いても年金が減る罰ゲーム?知らなきゃ大損する「老後のお金」のリアル
年金を受け取る年齢を遅らせる「繰り下げ受給」。毎月の受給額が増える魅力的な制度としてよく話題に上りますが、実は手放しで喜べない「裏の顔」があることをご存知でしょうか?
今回は、政府が声高には伝えない「年金繰り下げ受給の闇」と、働きながら年金をもらう際の「在職老齢年金制度の落とし穴」について、分かりやすく解説いたします。表面的な数字だけで判断せず、本当の手取り額を守るための参考にしてください。
年金繰り下げ受給の「表面」と「裏面」
まずは、繰り下げ受給のメリット(表面)と、隠されたデメリット(裏面)を比較してみましょう。
表面(メリット):もらえる「額面」は確実に増える
繰り下げ受給の最大のメリットは、受給開始を遅らせた分だけ年金額が一生涯増え続けることです。
- 1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額
- 1年で8.4%増額
- 70歳まで遅らせると142%(42%増)
額面で見れば、年間で数十万円も受給額が増え、老後の選択肢が広がる豊かで魅力的な制度に見えます。
裏面(デメリット):税金と社会保険料が激増する
しかし、ここからが「闇」の部分です。年金の支給額(額面)が増えるということは、それに伴って引かれる税金や保険料も増えるということです。
- 所得税・住民税の負担増
- 国民健康保険料・介護保険料の負担増
マネーポストWEBの試算データによると、65歳で年金200万円を受け取る人が70歳まで繰り下げて284万円になった場合、所得税・住民税・社会保険料などの負担が「年間約20万円」も跳ね上がるケースが示されています。 額面上の「損益分岐点(得をする年齢)」は81歳と言われていますが、税金等を引いた「手取り額の損益分岐点」は、なんと85歳以降まで後ろ倒しになってしまうのです。
さらに恐ろしい医療費の「現役並み」トラップ
年金額が増えることで、もう一つ大きな落とし穴が待ち受けています。それが「医療費の窓口負担」です。
通常、70歳を過ぎると医療費の窓口負担は原則2割(75歳以上は1割)になります。しかし、繰り下げによって年金収入が増え、所得が「現役並み」と判定されてしまった場合、窓口負担は3割へと跳ね上がります(負担が1.5倍に)。
さらに、入院や手術で医療費が高額になった際に上限を設けてくれる「高額療養費制度」においても、『現役並み』区分の人は『一般』区分の人の1.4倍も自己負担上限額が高く設定されてしまいます。高齢期に医療費の負担が増えるのは、家計にとって非常に大きな痛手です。
働いても取られる?「在職老齢年金」の壁
「年金だけじゃ不安だから、働きながら年金をもらおう」と考える方も多いでしょう。しかし、ここにも大きな壁が立ちはだかります。
それが「在職老齢年金制度」です。 これは、60歳以降も会社等で働き厚生年金に加入している場合、「給料(月収+賞与の1/12)+ 年金」の合計額が一定の基準を超えると、超えた分の半額の年金が支給停止(カット)されるという仕組みです。
現在(2024年度)は、この合計額が「月50万円」を超えるとカットの対象となります。 ※ただし、一つ知っておきたい重要な事実として、この基準額は2026年(令和8年)4月より「月62万円」へ引き上げられることが決まっています。以前よりは働きやすくなるものの、「稼ぎすぎると年金を減らされる」という根本の仕組み自体は残ります。
年金のお知らせ(年金決定通知書など)には「支給停止額」という項目が記載されており、働きがんばった分だけ年金が削られている現実を突きつけられます。
まとめ:老後のライフプランは「手取り」で計算しよう
- 繰り下げても、税金と保険料で多く取られる
- 働いて稼いでも、年金を減らされる
これが、今の年金制度のシビアな現実です。 「年金が〇%増える!」という表面的な言葉や額面の数字だけに踊らされず、「自分の場合は税金や保険料を引いた『手取り額』がいくらになるのか」「医療費の負担区分は上がらないか」を総合的に見極める必要があります。
ご自身のライフスタイルや健康状態、今後の働き方をしっかりと見直し、最適な年金の受給年齢を選び取っていきましょう!
根拠・参考サイト情報
本記事の制度解説およびシミュレーション数値は、以下の情報に基づいています。
- マネーポストWEB:
- 在職老齢年金制度について: 公益財団法人 生命保険文化センター
- 医療費の窓口負担・高額療養費制度について:
