【要注意】飛行機輪行の新たな鬼門!チューブレスの『シーラント』が保安検査でNGになる理由と対策
皆様、こんにちは。
先日、このブログで「航空機内でのDi2やeTapなどモバイルバッテリーの持ち込み規制強化」についてお話ししましたが、飛行機輪行を計画しているサイクリストにとって、さらに気をつけなければならない「新たな鬼門」が話題になっているのをご存知でしょうか。
それは、現在多くのサイクリストが愛用している「チューブレスタイヤのシーラント」です。 SNS上でも「荷物検査(保安検査)でNGになった」「タイヤを開けろと指示された」という声が上がり、大きな議論を呼んでいます。
今回は、なぜシーラントが引っかかるのか、実際に起きたトラブルと航空会社(ANA)の公式回答、そして今後懸念される「油圧ブレーキのオイル問題」と私たちができる防衛策について分かりやすく解説します。

なぜ「シーラント」が手荷物検査で問題になるのか?
SNSでのサイクリストの皆様のやり取りを拝見すると、この問題の本質が見えてきます。
- X線検査で「液体」は丸見え
- 「チューブレスですがシーラントは入れていません」と伝えても、保安検査場のX線を通せば、タイヤ内に液体が入っていることは一目瞭然です。
- 最大の理由は「正体のわからない液体」だから
- 気圧によるバーストを心配しているというより、航空会社が最も警戒しているのはテロ対策です。「可燃性液体」や「危険物・爆発物」の疑いがある正体不明の液体を機内に持ち込む(または預かる)ことは、安全上絶対にできないのです。
- マクハル(被膜タイプ)なら大丈夫?
- 「マクハルのように乾燥してゴムの被膜を作るタイプなら液体が残っていないから大丈夫では?」という意見もあります。しかし、検査員に「シーラントを入れています」と伝えた時点で、それがどんなタイプであれ「液体=危険物疑い」として足止めを食らうリスクがあります。
手荷物検査におけるシーラントの指摘や、油圧ブレーキオイルへの懸念に関するリアルな体験談と議論。
実際のトラブル事例とANAからの「正式回答」
では、実際に現場ではどのようなことが起きているのでしょうか。 あるサイクリストの方がSNSで共有してくださった、羽田空港からANA便を利用した際の非常に有益な体験談をご紹介します。
この方は、事前にトラブルを予測し、シーラントやオイル類の「SDS(安全データシート)」を印刷して持参していました。しかし、検査場で以下のような事態に直面したそうです。
- 現場での理不尽な指示
- SDSを提出したにもかかわらず、検査員から「タイヤを開けてシーラントを確認してほしい」「タイヤを開けるか、同一の製品容器がないと許可できない」と指示されました。チューブレスタイヤを開けてしまえば、現地で元に戻す(ビードを上げる)ことは非常に困難です。
- スケジュールの狂い
- タイヤを開けられないと説明し、最終的になぜか許可が下りて本人は搭乗できたものの、同行者は確認に時間がかかりすぎて飛行機に乗り遅れてしまったそうです。
- 後日、ANAへ問い合わせた結果(重要)
- この対応に疑問を持ち、後日ANAに直接問い合わせたところ、以下のような正式回答が得られました。
- 「現状、タイヤ内シーラントのSDSを持参していれば預け入れが可能(※2026年2月21日時点の対応)」
- 「SDSを提出したものの、タイヤ内シーラントを開けて確認するといった対応は間違いであった」
- この対応に疑問を持ち、後日ANAに直接問い合わせたところ、以下のような正式回答が得られました。
※航空会社のルールは随時変更される可能性がありますが、少なくとも「SDSを持参していれば預け入れ可能」「タイヤを開ける指示は間違い」という回答が得られたことは、サイクリストにとって非常に重要な指標となります。
2026年2月21日時点において、「SDSを持参していればシーラントの預け入れは可能」「タイヤを開けて確認する対応は間違いであった」との見解。
次なる鬼門は「油圧ディスクブレーキのオイル」?
シーラント問題に加えて、今後の飛行機輪行で間違いなく問題視されてくると予想されるのが、「油圧ブレーキに封入されているミネラルオイル(またはDOTフルード)」です。
現在の最新ロードバイクのほとんどが油圧ディスクブレーキを採用しています。ブレーキホース内には当然「液体」が満たされており、これもX線検査で確認できます。 「このホースの中に入っている正体不明の液体は何ですか?」と問われた際、専門知識のない検査員に対して口頭で安全性を証明するのは至難の業です。
私たちができる究極の防衛策「SDS」の持参
自転車に液体(シーラントや油圧オイル)を使うのが当たり前になった今、私たちサイクリストはどのように飛行機輪行を成功させればよいのでしょうか?
現時点で最も有効な防衛策は以下の3点です。
- 「SDS(安全データシート)」を印刷して持参する
- SDS(Safety Data Sheet)は、化学物質の危険有害性などを記載した公的な書類です。海外製品は輸入代理店、国内製品は各メーカーに問い合わせればデータをもらうことができます。これを印刷して一緒に提出しましょう。
- 空港には「かなり余裕を持った時間」に到着する
- SDSを持参していても、現場の検査員がルールを熟知しておらず、確認に時間がかかるケースが多発しています。焦りは禁物です。
- 「タイヤを開けろ」という指示を鵜呑みにしない
- もしタイヤを開けるよう指示されても、チューブレスの構造上復旧できないことを冷静に伝え、SDSを基に危険物ではないことを説明してください。
飛行機という特殊な空間では「安全第一」が絶対です。だからこそ、私たち個人レベルでも「自分の自転車に何が使われているか」を客観的に証明できる準備をしておくことが、これからの飛行機輪行のマナーでありスタンダードになっていくでしょう。
これから遠征を控えている皆様、パッキングの際はぜひバッテリーだけでなく、「液体のSDS」の準備もお忘れなく!
- 国土交通省「機内持込み・貸下荷物における危険物について」
- https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr2_000007.html
- 爆発の恐れがあるもの、燃えやすいものなどの危険物は航空法により持ち込みや預け入れが禁止されている旨の公式規定。正体不明の液体がこれに抵触する恐れがあるため検査が厳格化しています。
- 厚生労働省「安衛法におけるラベル表示・SDS(安全データシート)提供制度」
- https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/130813-01.html
- 化学物質の危険有害性情報を伝達するための公的書類であるSDSについての公式説明。
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「SDS(安全衛生キーワード)」

