ポガチャルが2026年シーズンの全レース欠場を発表。UAEチームとは2032年まで契約延長
ブエルタ・ア・エスパーニャでの落車により負傷したタデイ・ポガチャル選手について、所属するUAEチームエミレーツ-XRGから今後の動向が発表されました。
本記事では、海外自転車メディアの報道をもとに、ポガチャル選手が2026年シーズンの残りレースをすべて欠場し、治療とリハビリに専念するという決断の背景を整理します。
また、同時に発表された2032年までの長期契約延長のニュースについても触れ、引退説の払拭や今後のロードレース界に与える影響について解説します。
ポガチャル、2026年シーズン終了へ
UAEチームエミレーツ-XRGは土曜日、タデイ・ポガチャル選手がブエルタ・ア・エスパーニャでの落車の影響により、2026年シーズン中のレース復帰を断念することを正式に発表した。これにより、モントリオール世界選手権、母国スロベニアでの欧州選手権、そしてイル・ロンバルディアでのタイトル防衛はいずれも叶わないことになる。同時に発表されたのが、チームとの契約を2032年末まで延長するという大きなニュースだ。

- 2026年シーズン中のレース復帰を断念、世界選手権・欧州選手権・イル・ロンバルディアを欠場
- チーム医療責任者は、鎖骨骨折・頸椎骨折・脳震盪という複合的な負傷を踏まえた判断だと説明
- 同時に、UAEチームエミレーツ-XRGとの契約を2032年末まで延長したことを発表
- これにより、2028年ロサンゼルス五輪後や2030年での引退説は事実上否定された形に
本人コメント「今シーズンは、こういう終わり方を望んでいなかった」
ポガチャル選手は発表の中で、「もちろん、こういう形でシーズンを終えたかったわけではない。今は何よりも、しっかり回復して、体が必要とする時間をきちんと与えることが大切だ」とコメント。「特別な瞬間がたくさんあったシーズンで、みんなで成し遂げたことを誇りに思っている。これからは健康を取り戻すこと、そして自宅から仲間たちを応援すること、来年また万全の状態で戻ってくることに集中したい」と続けている。
チーム公式サイトの発表文では、「チームの医療・パフォーマンススタッフとの協議の結果、彼の回復とリハビリを最優先し、復帰時期に期限を設けることなく、完全な健康状態に戻るために必要な時間を与えるという決断を下した」と説明されている。
複合的な負傷が下した「シーズン絶望」の判断
ブエルタ第8ステージで首位を独走していた最中に落車したポガチャル選手は、鎖骨の複雑骨折、安定型の第7頸椎(C7)骨折、顔面の裂傷、そして脳震盪を負った。救急搬送先のバルセロナで8月31日(月)に手術を受け、その2日後にモナコの自宅へと帰還。パートナーのウルシュカ・ジガルト選手がSNSに投稿した写真では、左腕を吊った状態で、顔と左膝に複数の絆創膏を貼った姿が確認できた。
- 手術後の経過は順調で、回復状況には非常に満足している
- 脳震盪、安定型C7頸椎骨折、開放性鎖骨骨折という複合的な負傷を踏まえ、本人とも話し合った上で今シーズン中の復帰はしないと決定
- 医学的な観点から本人の健康が最優先であり、それぞれの負傷を完全に治癒させ、リハビリを段階的に進める必要がある
- 脳震盪については神経学的モニタリングを継続しながら、慎重に回復プロトコルを踏む必要がある
- 医学的に回復し、本人の準備が整って初めて、トレーニング量を段階的に増やす許可が出せる
- レース復帰の期限に合わせて回復を急がせるメリットは何もない。プレッシャーを取り除くことで、完全に準備が整ったタイミングでのトレーニング・レース復帰を目指せる
当初の計画では、9月13日にブエルタを終えた後、2週間の準備期間を経て9月27日の世界選手権(3年連続の世界タイトルを目指していた)に臨み、10月4日の欧州選手権、そして10月20日には史上初となる6勝目がかかるイル・ロンバルディアへと駒を進める予定だった。しかし今回の負傷により、これらすべてのタイトル防衛・記録更新の機会は今シーズンには持ち越しとなった。
契約は2032年末まで ― 早期引退説に終止符
2026年中はレースに姿を見せることはないものの、同じ発表の中でUAEは、ポガチャル選手がチームとの契約を2032年末まで延長したことを確認した。これにより、2028年ロサンゼルス五輪後や、従来の契約満了予定だった2030年での早期引退を示唆する見方には、事実上終止符が打たれた形となる。
チーム代表兼CEOのマウロ・ジャネッティ氏は「タデイは、このチームの歩みと成長の中心的な存在であり続けてきた。この関係が2032年まで続くことを、私たちは非常に誇りに思っている」とコメント。「今回の落車を受けて、彼が今年中にレースに復帰しなければならないプレッシャーは一切ない。彼の健康と回復が最優先だ。シーズンを通して多くのものを与えてくれた彼にとって、今は完全に回復するために必要な時間を取ることこそが正しい判断だ。準備が整った時に、また私たちのもとに戻ってきてくれるのを楽しみにしている」と述べている。
ポガチャル選手自身のSNS投稿でも、「最初からこのチームは、私にとって“ホーム”のような存在だった。私たちはこれまで共に成長してきた」という趣旨のコメントが添えられている。
まとめ ― 「戦線離脱」がむしろ支配の長さを物語る
シーズン終盤の主要レースをすべて欠場することで、残り期間のレース展開は大きく様変わりすることになる。それでも今回、長期にわたる契約延長が同時に発表されたことは、エディ・メルクス以来とも評される支配的な強さが、今後も長く続いていくことを予感させる出来事だ。以前の記事でお伝えした通り、今回の負傷は不運な偶然が重なった結果とみられているが、2032年までの契約という長期的な視点で見れば、今回の欠場は「一つの中断」に過ぎないと言えるかもしれない。
- James Moultrie, “Tadej Pogačar to miss remainder of 2026 season after Vuelta a España crash, but extends UAE Team Emirates-XRG contract until 2032”, Cyclingnews, 2026年9月5日
