トラクションコントロール搭載。ジャイアント新型「Trance Advanced E+」のスペックと価格
ジャイアント(GIANT)から、最新のe-bikeテクノロジーを余すことなく搭載したフルサスペンションe-MTBの新型「Trance Advanced E+」および女性向けモデル「Liv Intrigue Advanced E+」が発表されました。最大トルク120Nmを誇る新開発モーター「SyncDrive Pro 4」をはじめ、悪路でのスリップを防ぐトラクションコントロールシステム(TCS)や独自の電動ドロッパーシートポストなど、次世代のトレイルライドを牽引するスペックを備えています。本記事では、海外自転車メディア『BikeRadar』の報道をもとに、革新的な統合制御システムや充実した防犯機能など、新型モデルの全貌を客観的に解説します。
新型ジャイアント「Trance Advanced E+」登場

新型ジャイアント「Trance Advanced E+」と、女性向け姉妹モデル「Liv Intrigue Advanced E+」が発表された。最大トルク120Nm、最大出力850Wを誇り、ジャイアントの最新e-bike技術が詰め込まれている。
ジャイアントのe-bikeシステム「E+」は今回、トラクションコントロール、電動変速対応機能、そしてメインバッテリーに接続される無線操作式の電動ドロッパーシートポストを新たに搭載。メインバッテリーが0%になった後でも、ドロッパーポストは約2万回の作動が可能だという。専用アプリ「RideControl」も、バイクの追跡、遠隔ロック、ロック中に動きを検知した際のアラートといった安全機能を備えている。
- 新開発モーター「SyncDrive Pro 4」を初搭載、最大トルク120Nm・最大出力850W
- トラクションコントロールシステムを新搭載、後輪のスリップを検知してアシストを一時的に抑制
- 電動ドロッパーシートポスト、電動変速対応のワイヤレスコントローラー「Ergo 5」を採用
- 遠隔ロック・盗難アラーム・タイヤ空気圧アラートなど、車のような安全機能を搭載
- 価格は4グレード展開、最上位モデルで約194.4万円(英国参考価格8,999ポンド)
※価格は英国・米国・欧州での参考価格をもとに、2026年10月時点のレート(1ポンド=約216円、1ドル=約159円、1ユーロ=約185.7円)で円換算した参考値です。
新型モーター「SyncDrive Pro 4」

新型Trance・Intrigueは、ジャイアントの新型モーター「SyncDrive Pro 4」を初めて搭載するモデルとなる。最大トルク120Nm・最大出力850Wというスペックは、ボッシュの最上位モーター「Performance Line CX」(120Nm・750W)を上回る一方、最新の「Avinox M2S」(最大トルク150Nm・最大出力1,500W)には及ばない。
- 最大トルク:120Nm
- 最大出力:850W
- 公称重量:2.4kg(ジャイアント史上最高のパワーウェイトレシオを謳う)
- 新開発の48Vシステムを採用、発熱を抑え効率向上が期待できるという
ワイヤレスコントローラー「RideControl Ergo 5」

ジャイアントの「Ergo 5」コントローラーは、バイクのモード・機能を操作するワイヤレスインターフェースだ。新型Trance・Intrigueでは、電動ドロッパーポストの作動、アシストモード・ブーストモード・歩行アシストモードの切り替えに加え、一部の電動ディレイラーの操作にも対応する。
オルベアの「RSシステム」とは異なり、Ergo 5コントローラーはワイヤレス方式。1つまたは2つのコントローラーを使用でき、左側に1つ装着すればアシストモード・ドロッパーポストの操作が可能。対応ディレイラー(Advanced 2モデルのTRP製ユニットなど)を搭載したモデルであれば、右側にもう1つ装着して電動変速機能を追加できる。
電動ドロッパーポスト「Contact Switch E+」は、バイクのメインバッテリーに有線接続される構造。オルベアの「RSポスト」と似たアーキテクチャだが、オルベアのようなプログラム可能な「スマートドロッパー」機能は備えていない。直径30.9mm、トラベル量は100mm・140mm・170mm・200mmの4種類が用意される。
トラクションコントロールシステム(TCS)

新型Avinoxモーターを搭載した一部の最新e-MTBと同様、新型Trance・Liv Intrigue Advanced E+にもトラクションコントロールシステム(TCS)が搭載される。ペダリング中のケイデンス・トルクをセンサーで監視し、後輪のスリップを検知する仕組みだ。スリップを検知するとアシストを一時的に抑制し、その後ライダーが選択したアシストレベルに戻る。
ジャイアントによれば、4つのパラメーターを常時監視することで、車載コンピューターが後輪のトラクションが失われたタイミングを判断できるという。特に、ギアを軽くして後輪に大きなトルクがかかりやすい、荒れた技術的な登坂区間で効果を発揮しそうだ。
頭脳部「Smart Gateway 2.0」

ジャイアントE+システムのデジタル頭脳にあたるのが「Smart Gateway 2.0」だ。SyncDriveモーター、EnergyPakバッテリー、RideControlシステム、Go Luxディスプレイ、そして安全機能群「Aegis」を一括して連携させる。
- 電動ドロッパーポストの作動
- 統合型電動変速
- Aegisタイヤチェッカー(前後のタイヤ空気圧をリアルタイム表示、設定値到達・急激な低下時にアラート。バッテリー持続は最大600時間、チューブ・チューブレス両対応)
- リアルタイムクロック
- E-Lock(遠隔ロック機能)
- Aegisレーダー
システムには6つのセンサーが情報を入力し、Eco・Tour・Active・Sport・Power・Boostという6つのモードをそれぞれカスタマイズして選択できる。
専用アプリ「RideControl」― 盗難対策機能も充実

専用アプリ「RideControl」では、アシストレベルの設定に加え、選択した支援モード内での最大トルク・加速度・反応性・オーバーラン(惰性走行時の挙動)を細かく調整できる。
盗難対策機能
「eLock」は、コード入力によってバイクを遠隔で無効化できる機能だ。アプリからバイク本体に音を鳴らすこともでき、Appleの「探す」ネットワークを利用してバイクの位置を特定し、そこまでの経路案内を受け取ることもできる。
航続距離延長バッテリー「EnergyPak Plus 280」

容量280Whの航続距離延長バッテリーは、英国・アイルランドでは全モデルに標準付属。それ以外の地域では、最廉価モデル「Advanced 2」を除く全モデルに付属する。ボトルケージ台座に装着するタイプで、公称重量は1.5kg。メインバッテリー(840Wh)と合わせると、総容量は1,120Whに達する。
ジャイアントによれば、EnergyPak Plus 280は800サイクルを超えてもピーク性能の80%を維持し、総寿命は2,300サイクルに達するという。
フレーム構成

Trance Advanced E+とLiv Intrigue Advanced E+は、いずれも同じカーボンフレームをベースに、異径ホイール(ミックスホイール)構成を採用。ジャイアント独自の「マエストロ」サスペンションシステムにより、リアトラベル150mmを実現している。フロントフォークは160mmトラベル、上位モデルには一体型カーボン製ハンドル・ステムも採用される。
フレーム・ジオメトリー
- 完成車重量:公称21.9kg(フルパワーe-MTBとして標準的な水準)
- 3段階調整可能な「フリップチップ」:ヘッドアングルを標準64.5度から前後0.4度の範囲で調整可能
- シートアングル:77度(フリップチップにより±0.4度で調整可能)
グレード別のコンポーネント構成

- Advanced 0(最上位):Fox Factoryサスペンション(36フォーク+Float Xショック)、カーボンホイール、SRAM XX Eagle Transmission
- Advanced 1:Fox Performanceサスペンション、アルミホイール、SRAM GX AXS Transmission
- Advanced SE:Crestフォーク・ショック、TRP製ワイヤレスディレイラー
- Advanced 2:RockShox Psylo Gold RCフォーク、12速Deoreドライブトレイン
価格・発売時期
ジャイアント「Trance」、Liv「Intrigue」ともに、それぞれ4グレードを展開。発売(出荷開始)は11月からを予定している。
| グレード | 参考価格 |
|---|---|
| Advanced 0 E+ | 約194.4万円(8,999ポンド)/約186.0万円(11,700ドル)/約185.7万円(9,999ユーロ) |
| Advanced 1 E+ | 約151.2万円(6,999ポンド)/約149.5万円(9,400ドル)/約148.5万円(7,999ユーロ) |
| Advanced SE E+ | 約129.6万円(5,999ポンド)/約124.0万円(7,800ドル)/約124.4万円(6,699ユーロ) |
| Advanced 2 E+ | 約118.8万円(5,499ポンド)/米国価格未設定/約111.4万円(5,999ユーロ) |
なお、Liv Intrigueは英国・アイルランドでは全モデルに航続距離延長バッテリーが付属するが、それ以外の地域ではAdvanced 2モデルのみ付属しない仕様となっている。
まとめ
トラクションコントロール、電動ドロッパーポスト、そして車のような盗難対策機能まで、今回の新型Trance・Liv Intrigueは、e-MTBの統合技術が着実に進化していることを示す一台と言えそうだ。11月の出荷開始に向けて、実車でのインプレッションにも注目したい。
- Will Soffe, “New Giant Trance Advanced E+ features traction control and a proprietary electronic dropper”, BikeRadar, 2026年10月1日
