【無法地帯】なぜ警察は「違法モペット」を捕まえないのか?逆走・信号無視が野放しになる5つの裏事情
街中で猛スピードで歩道を走り抜ける、ペダル付きの電動バイク。いわゆる「モペット(フル電動自転車)」です。 逆走、信号無視、ノーヘル……。見ているだけでヒヤッとする場面に遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか。
「あんなに堂々と違反しているのに、なぜ警察は捕まえないの?」 「目の前を通ってもスルーしているのはなぜ?」
そんな疑問や怒りを感じることもありますが、実はこれ、警察が「サボっている」のではなく、「物理的に取り締まりにくい構造」があるのです。 今回は、モペットが無法地帯化してしまう5つの理由と、私たちが身を守るための対策について解説します。
大前提:あれは「自転車」ではありません
まず、法律の基本を確認しましょう。 ペダルを漕がずにモーターの力だけで進める車両は、見た目が自転車でも、法律上は「原動機付自転車(原付バイク)」です。
つまり、乗るためには以下の条件がすべて必須です。
- 運転免許証
- ヘルメット着用
- ナンバープレートの取得・取り付け
- 自賠責保険への加入
- ウィンカーやブレーキランプ等の保安部品
- 車道走行(歩道は走行不可)
これらが一つでも欠けていれば「整備不良」や「無免許運転」などの違法行為になります。 しかし、乗っている本人が「自転車感覚」でいることが、最大の問題の入り口です。
警察が手を焼く「取り締まれない5つの理由」
では、明らかに違法なのに、なぜ一斉検挙されないのでしょうか? 現場には切実な事情があります。
理由①:見た目で「白黒」判定が難しい
これが最大のネックです。 合法な「電動アシスト自転車」と、違法な「フル電動モペット」は、パッと見の外見がほぼ同じです。 現行犯で捕まえるには、「ペダルを漕いでいないのに進んでいる瞬間」を目撃するか、スロットルレバーの有無を確認する必要がありますが、走行中の車両を一瞬で見分けるのは至難の業です。
理由②:検査に膨大な手間がかかる
怪しい車両を止めたとしても、「はい、違反切符!」とはいきません。
- 本当に自走するか(スロットルの確認)
- アシスト比率は基準内か
- モーターの出力はいくつか これらを証明するために、現場で車体のチェックや測定が必要になるケースもあり、1台処理するのに膨大な時間と人手がかかります。
理由③:逃げやすく、深追いが危険
モペットの厄介な点は、バイク並みの速度が出るのに、自転車のように細い路地や歩道へ逃げ込めることです。 パトカーで追跡すれば二次災害(事故)のリスクが高く、白バイや自転車警察官でも、信号無視をして逃げる相手を無理に止めるのは非常に困難です。「追跡して事故が起きたら警察の責任」というリスクが、現場の手を鈍らせます。
理由④:警察の「優先順位」問題
警察のリソースは有限です。 凶悪事件、飲酒運転、死亡事故の処理……。緊急性の高い案件が山積する中で、どうしても「モペットの取り締まり」は後回しにされがちです。 悲しい現実ですが、「大きな事故が起きてからでないと、本腰を入れにくい」という側面があります。
理由⑤:販売の「モグラ叩き」状態
日本の公道で走れない仕様のモペットが、Amazonや海外通販、フリマアプリで「公道走行不可」という小さな注釈付きで大量に販売されています。 買う側も安易に手に入れられるため、警察が路上で数台取り締まっても、ネットから次々と新規ユーザーが湧いてくる「モグラ叩き(イタチごっこ)」状態なのです。
なぜ彼らは「逆走・信号無視」をするのか?
違反者の心理はシンプルかつ最悪の組み合わせです。
- 「自転車だと思っている」:交通ルール(左側通行など)を知らない、守る気がない。
- 「原付のパワーがある」:生身の自転車よりスピードが出るため、危険回避が間に合わない。
- 「捕まらないと思っている」:取り締まりの少なさを学習し、やり得だと感じている。
「自転車の気軽さ」×「バイクの速度」=「走る凶器」 これが、無法モペットの正体です。
今後の展開と、私たちにできる自衛策
とはいえ、状況は少しずつ変わりつつあります。 警察庁も事態を重く見ており、「ペダル付原動機付自転車」という明確なカテゴリで啓発を行ったり、悪質な販売業者への指導を強化したりする動きが出ています。今後は「青切符(反則金)」制度の自転車への導入(2026年施行予定)に合わせ、モペットへの風当たりも強くなるでしょう。
【対策】関わらないのが最強
私たち一般市民ができることは、自衛です。
- 決して注意しない
- 違法走行をしている人は、遵法精神が希薄です。注意しても逆ギレされたり、ひき逃げされたりするリスクがあります。
- 「来るかもしれない」と予測する
- 交差点や横断歩道では、「信号無視のモペットが突っ込んでくるかも」と常に疑ってください。
- 証拠を残す
- 万が一接触した時のために、ドライブレコーダーやスマホで記録を残すことが、自身の身を守る最大の武器になります。
「警察がなんとかしてくれる」のを待つには、まだ時間がかかりそうです。 まずは「あれは自転車ではなく、ナンバーのないバイクが暴走している」という認識を持ち、距離を取ることが一番の安全策です。
本記事の解説は、以下の公的機関の発表および法律に基づいています。
- 警察庁
- 「ペダル付き原動機付自転車」の取扱いについて
- ペダルを漕がずとも進む車両は、道路交通法上の「原動機付自転車」に該当し、ナンバープレートや免許が必要である旨の周知資料。
- 国民生活センター
- ペダル付き電動2輪車の道路交通法上の取扱い
- インターネット通販等で購入した「電動自転車」が、実際には原付に該当し、公道走行で摘発される事例への注意喚起。
- 道路交通法
- https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
- 原動機付自転車の定義(第2条第1項第10号)、および運転免許、ヘルメット着用義務、歩道通行禁止などの規定。
