【新NISAの罠】メリットだと思っていた4つの特徴が「落とし穴」になる理由
まずは、よく言われる新NISAのメリット(そして今回の落とし穴)を見てみましょう。
- 利益はずっと税金なし
- 年間360万円、生涯で1,800万円まで投資OK
- 売れば税金かからない枠が復活
- 人気のS&P500、5年の平均利回り20%超え
どれも素晴らしい制度の恩恵に見えますが、これらを正しく理解していないと、思わぬ失敗を招く可能性があります。一つずつ詳しく見ていきましょう。
落とし穴①「利益はずっと税金なし」の罠
【本来のメリット】 非課税期間が「無期限(恒久化)」になったことで、長期的かつ自由な運用が可能になりました。
【落とし穴】 期限がないからこそ、「売るタイミング(出口戦略)」が分からなくなるという問題が発生します。 投資は資産が増えていく過程が楽しいものですが、本来の目的は「人生を豊かにするために使うこと」です。無期限だからとずっと持ち続け、いざお金が必要なライフイベントの時に「もっと増えるかも…」と欲が出て使うタイミングを逃してしまっては本末転倒です。
「子どもの大学進学時に〇〇万円引き出す」「老後資金として〇歳から毎月定額を取り崩す」など、事前に自分なりのルール(出口戦略)を決めておくことが重要です。
落とし穴②「年間360万円投資できる」の罠
【本来のメリット】 つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を合わせ、年間最大360万円という大きな非課税枠が用意されています。
【落とし穴】 枠が大きく用意されていると、人の心理として「どうしても枠を使い切りたい!」という焦りや強迫観念が生まれがちです。 しかし、年間360万円(月額30万円)を埋めるために、今の生活を極端に切り詰め、趣味や家族との外食など「今の生活を楽しむためのお金」まで投資に回してしまうのは意味がありません。
投資はあくまで余剰資金で行うのが鉄則です。「手取りの2割」など、ご自身の家計に合った無理のない投資額を設定し、自分のペースを守りましょう。
落とし穴③「売れば枠が復活する」の罠
【本来のメリット】 保有している商品を売却すると、その分の非課税保有限度額(元本ベース)が復活し、再利用できるようになりました。
【落とし穴】 ここには「どの枠が、いつ復活するのか」という重大な勘違いが潜んでいます。 復活するのはあくまで「生涯投資枠(最大1,800万円)」であり、しかも復活するタイミングは「売却した翌年」です。「年間投資枠(360万円)」がその年のうちに復活するわけではありません。
- 失敗例: 1月に成長投資枠の240万円分を一気に投資し、利益が出たので2月に全額売却した。
- → この場合、今年の成長投資枠はすでに使い切っているため、その年のうちはもう成長投資枠での投資はできません。
デイトレードのような短期売買には不向きな制度です。枠の復活は翌年になることを理解し、中長期的な視点で運用しましょう。
落とし穴④「S&P500の平均利回り20%超え」の罠
【本来のメリット】 米国株式(S&P500など)に連動するインデックスファンドは非常に人気があり、直近5年の平均利回りが20%を超え、過去30年で見ても10%を超えるなど、素晴らしいパフォーマンスを出しています。
【落とし穴】 「負けなし」のように見えますが、これはあくまで「過去の平均リターン」です。 株価は日々上下(ボラティリティ)しており、毎年安定して20%ずつ増えるわけではありません。大きくプラスになる年もあれば、マイナスに沈む年もあります。もし、自分が家を購入したい、学費を払いたいといった「現金化したいタイミング」で大暴落が起きていたら、元本割れを起こしている可能性も十分にあります。
「投資に絶対はない」というリスクを正しく理解し、必要な時期が近づいたら値動きの少ない安全資産(現金など)へ少しずつ移しておくなどの工夫が必要です。
まとめ
今回は、新NISAの「4つの落とし穴」について解説しました。
- 利益はずっと税金なし → 出口戦略を見失う危険
- 年間360万円投資できる → 無理な投資で今の生活を圧迫する危険
- 売れば枠が復活 → 年間枠が即座に復活すると勘違いする危険
- 利回り20%超え → 平均の罠にかかり、暴落リスクを忘れる危険
これらは制度の欠陥ではなく、「正しく理解していないことによるユーザー側の落とし穴」です。これらにさえ気を付ければ、新NISAは資産形成において本当に優れた、国が用意した最強の味方となります。ルールを正しく理解し、上手に活用していきましょう!
本記事の内容は、金融庁の公式案内や一般的な金融知識に基づいています。制度の正確なルール(年間投資枠や非課税保有限度額の再利用など)については、以下の公式サイトをご確認ください。
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
- NISAの概要、非課税保有限度額(総枠)の再利用に関するルールについて
- https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
