大人数でのサイクリングも諦めない!自転車多台数・多人数車載の極意

グループでのサイクリングや遠征の際、「自転車を何台積める?」「人も快適に乗れる?」という疑問は尽きません。特にミニバンや大型SUVでなくても、工夫次第で複数の自転車と人を同時に運搬することは可能です。かつて2011年の記事で、ワゴンRやプジョー306ブレークがその高い積載能力を示したように、現代の車でも適切な知識と工夫があれば、サイクリングの可能性は大きく広がります。
![[2011年度版]自転車の車載について(多く積んで人も乗る)](https://bike-memo.com/wp-content/uploads/2011/11/cycle_B05-320x180.jpg)
この記事では、現代の車両事情も踏まえながら、自転車の多人数・多台数車載の基本戦略、車選びのポイント、そして具体的な積載方法や注意点までを徹底解説します。
自転車運搬の基本戦略:車内積載 vs. 外部キャリア
自転車を車で運ぶ方法には、大きく分けて「車内積載」と「外部キャリア」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に応じて使い分けることが重要です。
1. 車内積載のメリット・デメリット
- メリット:
- 盗難リスクの低減: 車内に収納するため、外部からの視認性が低く、盗難のリスクを減らせます。
- 風雨・汚れからの保護: 走行中の雨、風、砂、飛び石などから自転車を守れます。
- 燃費への影響が少ない: 空気抵抗が増えにくいため、燃費への影響を最小限に抑えられます。
- デメリット:
- 室内空間の犠牲: 自転車のスペースを確保するため、乗車人数や他の荷物の積載量が制限されます。
- 積み込みの手間: 自転車の分解や、車内の保護が必要です。
- 車内が汚れる可能性: タイヤの汚れや泥などが車内に付着する場合があります。
2. 外部キャリアのメリット・デメリット
- メリット:
- 車内空間を犠牲にしない: 乗車人数や車内の荷物スペースを確保できます。
- 積載台数の柔軟性: 車種にもよりますが、多くの自転車を積載できるモデルもあります。
- デメリット:
- 初期費用: キャリア本体の購入費用や取り付け費用がかかります。
- 燃費への影響: 空気抵抗が増えるため、燃費が悪化する傾向にあります。
- 高さ制限・全長制限: ルーフキャリアは高さ、ヒッチメンバーキャリアは全長に注意が必要です。
- 盗難リスク: 車外にあるため、ロックをしても盗難のリスクは車内積載より高まります。
多人数・多台数対応!車内積載の極意
複数の自転車と人を同時に運ぶには、車内積載が鍵となる場合が多く、特に後部座席がフラットになるミニバンや一部のステーションワゴンがその真価を発揮します。
積載の基本テクニック
どんな車でも、これらの基本を押さえることで積載能力が向上します。
- 前輪・後輪の取り外し: ロードバイクの全長を大幅に短縮できます。フォークエンドの保護キャップやホイールバッグを使用し、フレームや車内を汚さないようにしましょう。
- シートポスト/サドルの調整、ハンドルの回転: サドルを一番下まで下げる、またはシートポストを抜くことで、自転車の高さを抑えられます。ハンドルの向きを90度回転させるだけでも横幅が節約できます。
- 保護材の活用: 自転車同士や車内への傷を防ぐため、毛布、バスタオル、養生シート、エアキャップ(プチプチ)などを惜しみなく使用しましょう。
- 変速機(ディレイラー)の保護: 最もデリケートな部分です。自転車を寝かせる場合は、必ずディレイラー側を上にして積み込みましょう。
- 固定の重要性: 走行中の急ブレーキやカーブで自転車が動かないよう、タイダウンベルトや丈夫なゴムバンドなどで車内のフックにしっかり固定します。
車内積載に適した車両タイプと具体的な車種の紹介
現代の日本市場で、多人数・多台数の自転車運搬に適した車は以下のタイプが挙げられます。
1. ミニバン(ホンダ ステップワゴン、トヨタ ノア/ヴォクシー、日産 セレナなど)
- 強み: 広大な室内空間、特に室内高と低床設計が魅力。シートアレンジが非常に豊富で、乗車人数と積載スペースのバランスを柔軟に調整できます。大人数乗車と複数台積載の両立が最も得意なタイプです。
- 積載のコツ: 2列目や3列目シートを格納・スライドさせることで、広大なフラットスペースを確保できます。前輪を外したロードバイクなら、車種や工夫次第で2〜4台と4〜5人程度の乗車も現実的です。特に3列目シートが床下格納できるタイプは、荷室をより広く使えます。
- 主要車種の参考スペック(現行モデル)
- ホンダ ステップワゴン(RP系 / 現行モデル):
- 室内長:約2,845mm(2列目・3列目格納時、助手席最前方まで含む実測最大長)
- 室内幅:約1,500mm
- 荷室開口部高:約1,270mm
- 特徴: 低床設計で自転車の積み込みが非常に楽。26インチの自転車を立てて積載可能とされており、前輪を外すなどの工夫で複数台の積載に対応します。
- トヨタ ノア / ヴォクシー(90系 / 現行モデル):
- 室内長:約2,805mm(2列目・3列目格納時)
- 室内幅:約1,470mm
- 室内高:約1,405mm
- 荷室長(2列目シート格納時):約1,600mm(8人乗りで前席まで倒した場合約2,000mm)
- 荷室開口幅:約1,210mm / 荷室高:約1,250mm
- 特徴: 3列目シートの格納方法により、広大な荷室を確保できます。室内高も高く、自転車を安定して積むことが可能です。
- 日産 セレナ(C28系 / 現行モデル):
- 室内長:約3,085mm(セカンドシート最前方、サードシート格納時)
- 室内幅:約1,545mm
- 室内高:約1,340mm
- 特徴: 26インチ自転車4台積載可能と謳うモデルもあり(2名乗車時、前輪外し)。デュアルバックドアなど、荷物の積み下ろしに便利な機能も充実しています。
- ホンダ ステップワゴン(RP系 / 現行モデル):
2. ステーションワゴン(スバル レヴォーグなど)
- 強み: 長い荷室長が特徴で、自転車のフレームを横倒しに積載するのに適しています。走行安定性も高く、長距離移動に適しています。
- 積載のコツ: 基本的に2台までの積載が現実的です。前輪やサドルを外すことで、自転車を立てて積むことも可能になります。
- 主要車種の参考スペック(現行モデル)
- スバル レヴォーグ(VN系 / 現行モデル):
- 荷室フロア長(後席展開時):約1,070mm
- 荷室フロア長(後席格納時、前席まで含む最大):約2,000mm以上
- 荷室高:約771mm
- 特徴: 後席を倒すと奥行きが約2mにもなり、前輪とサドルを外せばロードバイク2台を立てて積載できるとされています。床下収納も充実しています。
- スバル レヴォーグ(VN系 / 現行モデル):
外部キャリアの活用:もう一つの選択肢
車内積載が難しい場合や、さらに多くの自転車を運びたい場合は、外部キャリアの導入を検討しましょう。
- ルーフキャリア: 車のルーフ(屋根)に自転車を固定するタイプ。
- メリット: 車内空間を全く犠牲にせず、乗車人数も最大限に確保できます。
- デメリット: 積み下ろしが大変(特に背の高い車)、全高が大幅に高くなるため高さ制限に注意が必要(立体駐車場、高架下など)、空気抵抗が増え燃費が悪化しやすい。
- ヒッチメンバーキャリア(トウバーマウント): 車の後部に「ヒッチメンバー」と呼ばれる牽引装置を取り付けて使用するタイプ。
- メリット: 積み下ろしが比較的楽、自転車が低位置にあるため空気抵抗も少なく燃費への影響が小さい。
- デメリット: ヒッチメンバーの取り付けに費用と手間がかかる、車種適合が限定される、車の全長が長くなるためバック駐車などに注意が必要。
- リアゲートキャリア: 車のリアハッチにフックなどで固定するタイプ。
- メリット: 比較的安価で手軽に装着できる。
- デメリット: 積載台数が限られる(通常1~3台)、リアゲートの開閉がしにくくなる、自転車が車体と接触して傷つく可能性。
安全な運搬のために:共通の注意点
どのような方法で自転車を運搬する場合でも、安全対策は最優先です。
- 固定の徹底: 走行中に自転車が動いたり、外れたりしないよう、強固に固定しましょう。車内積載の場合は、急ブレーキ時に自転車が前方に飛び出さないよう、タイダウンベルトなどでしっかりと固定します。
- 視界の確保: ドライバーの視界(特にバックミラーやサイドミラー)を自転車や積載物が遮らないよう、十分に確認しましょう。
- 車内・自転車の保護: 車内に積む場合は、内装の傷や汚れを防ぐために保護シートやマットを使用します。自転車自体も、フレームやパーツが傷つかないように緩衝材で保護することが大切です。
- 積載物の重量と重心: 重い自転車を積む際は、車の重心が高くなりすぎないよう、できるだけ低い位置に積む工夫をしましょう。また、過積載にならないよう、車両の積載重量制限も確認しましょう。
- 走行の注意: 自転車積載時は、通常時よりも車の挙動が変わる可能性があります。急ブレーキ、急ハンドル、急加速を避け、慎重な運転を心がけましょう。
まとめ
自転車を多人数・多台数で運ぶことは、適切な車選びと積載方法、そして安全への配慮があれば、十分に可能です。
現代のミニバンは、その広大な室内空間と多様なシートアレンジで、まさにサイクリストにとっての頼れる相棒となり得ます。また、ステーションワゴンや外部キャリアも、それぞれの利点を活かすことで、運搬の選択肢を広げてくれます。
この記事で紹介した具体的な車種のスペックや積載のコツ、そして安全対策を参考に、あなたのサイクリングライフをより自由に、そして快適に楽しんでください!
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