カンパニョーロがピナレロ関連会社から出資受け入れ。今後のプロレースへの影響は
イタリアの老舗コンポーネントメーカーであるカンパニョーロに、新たな資本提携の動きがありました。
スイスを拠点とする投資会社「SPAC SA」がカンパニョーロの少数株式を取得したことが発表されましたが、この投資会社はロードバイクブランドのピナレロにも出資しているとされており、今後の両社の関係性やプロレースへの影響に注目が集まっています。
本記事では、海外自転車メディアの報道をもとに、カンパニョーロが投資を受け入れた背景や、完成車メーカーへのOEM供給強化、そして今後のコンポーネント市場に与える影響について整理して解説します。
カンパニョーロに新たな出資
イタリアの名門コンポーネントメーカー、カンパニョーロが、チューリッヒを拠点とする持株会社「SPAC SA」から「戦略的投資」を受けたことを発表した。SPAC SAは自転車業界内にピナレロを含む他の投資先も持つとされており、今回の出資により同社はカンパニョーロの少数株主となる。経営権と過半数の株式は引き続きカンパニョーロ家が保持する。

- チューリッヒ拠点の投資会社「SPAC SA」が、カンパニョーロの少数株主として出資
- カンパニョーロ家は経営権・過半数株式を維持、あくまで「少数出資」の位置づけ
- SPAC SAはピナレロにも出資しているとされ、南アフリカの富豪イワン・グラセンバーグ氏との関連が取り沙汰されている
- カンパニョーロは今回の投資を「プロレース分野での存在感強化」に活用する意向を表明
- 出資比率・出資額は非公表
近年苦戦が続いていたカンパニョーロ、反転攻勢へ
かつて数十年にわたり自転車業界で最も憧れのコンポーネントブランドとして君臨してきたカンパニョーロだが、近年はその影響力・シェアともに低下傾向が続いてきたことはよく知られている。直近のグループセット「スーパーレコード13」「レコード13」は、ライダー・メディア双方から高い評価を受けたものの、ブランドとしての存在感を取り戻すまでには長い道のりが残されているとみられていた。
カンパニョーロは声明の中で、今回の投資を通じてプロレース分野・OEM供給分野での存在感を強化していく意向を示している。具体的には、大手自転車メーカーとの関係強化、事業運営の近代化、そしてカンパニョーロ・フルクラム両ブランドの開発への投資を進めていくとしている。

投資元「SPAC SA」の正体は?
今回の発表で特に注目されているのが、SPAC SAが「ピナレロを含む自転車業界内の他の投資先」を持つと明言された点だ。この事実は、ピナレロの過半数株式を保有しているとされる南アフリカの富豪、イワン・グラセンバーグ氏との関連を示唆している。グラセンバーグ氏は、ピナレロQ36.5サイクリングチームのオーナーとしても知られる人物だ。

もしこの関連が事実であれば、将来的にトム・ピドコック選手がカンパニョーロ製コンポーネントを使用してレースに出走する可能性も出てくることになる。ピドコック選手は現在ピナレロQ36.5サイクリングチームに所属している。
この点についてカンパニョーロ側に確認したところ、グループ製品・マーケティング責任者のフェデリコ・ガルディン氏は「当社への投資家の背後にいる個々の株主については、コメントできない」とした。一方で、「カンパニョーロは、SPAC SAが自転車業界内に持つ他の投資先とは独立した形で事業を運営し続ける」ことは明確に確認している。
カンパニョーロによる声明全文の要旨
声明のポイント(2026年9月2日、ヴィチェンツァ発)
- 1933年創業、90年を超える歴史を持つイタリアの家族経営ブランドとしての継承を強調
- SPAC SAとの投資契約は、既存株主との合意に基づくもの。クロージング(取引完了)は今後1か月以内を予定、通常の前提条件を満たすことが条件
- 2023年の完全ワイヤレス化「スーパーレコード12V」以降、2025年「スーパーレコード13V」、2026年「新型レコード」と、グループセットのアーキテクチャを刷新してきた流れを加速させる位置づけ
- 大手自転車メーカー・商業パートナーとの関係深化、事業運営の近代化、カンパニョーロ・フルクラム両ブランドの開発投資を進める方針
- プロレース・エリートサイクリングとのつながり強化にも改めて言及
- SPAC SAの他の自転車業界投資先(ピナレロを含む)とは完全に独立した形で事業を継続する方針を明記
声明の中でカンパニョーロは、イタリアの卓越したエンジニアリングの伝統と、次世代のプレミアムサイクリングをリードするために必要な技術・パフォーマンス・組織能力を組み合わせていくという明確な目標を掲げている。ドライブトレイン・ホイールの両分野への取り組みも継続し、カンパニョーロ・フルクラム両ブランドを通じて高性能製品の開発を続けるとしている。

まとめ
今回の出資が、実際にカンパニョーロのプロレースでの存在感やOEM供給網にどのような変化をもたらすのか、そしてピナレロとの関連が今後どのような形で具体化していくのかは、現時点では不透明な部分も多い。とはいえ、90年を超える歴史を持つイタリアの名門ブランドが、新たな体制のもとで反転攻勢に出ようとしていることは間違いなさそうだ。続報が入り次第、改めてお伝えする。
- Simon von Bromley, “Investment group with links to Pinarello buys minority stake in Campagnolo”, BikeRadar, 2026年9月2日
