プロ選手も愛飲!ロードバイクのパフォーマンス向上&疲労回復に効く「天然ジュース」4選
「過酷なトレーニングやレースの後、少しでも早く疲労を抜きたい」 「ここぞという場面で、足攣り(こむら返り)を防ぎたい」
ロードバイクに乗るサイクリストなら、誰もが一度はこんな悩みを抱えたことがあるはずです。パフォーマンス向上やリカバリーのために様々なサプリメントを試している方も多いかもしれませんが、現在、世界のトッププロ選手(プロトン)たちの間では、身近な「野菜や果物から作られる天然のジュース」が大流行しているのをご存知でしょうか?
あのタデイ・ポガチャル選手がレース中のピンチを脱するために飲んだ「謎の液体」や、トム・ピドコック選手がレース後に必ず飲む「赤いジュース」など、プロの世界では今、自然由来の成分がもたらす強力な効果に注目が集まっています。
本記事では、海外の自転車メディア『BikeRadar』の特集をもとに、プロ選手が実際に愛飲している4種類のジュース・ショット(ブロッコリー、タルトチェリー、ビーツ、ピクルス)をピックアップ。それぞれの驚くべき有効成分と、レース前・後・トラブル発生時といった「最適な飲むタイミング」について分かりやすく解説します!

英語サイト:BikeRadarの記事をもとに、プロトンで使われている4種類のジュース・ショットを紹介します。
4 performance-enhancing juice drinks that have taken over the peloton | BikeRadar
プロ選手も愛飲する「野菜・果物ジュース」4選
プロトンでは今、サプリメントだけでなく、身近な野菜や果物から作られる「ジュース」がパフォーマンス向上・リカバリー対策として広く使われています。ここでは、実際にプロトンで愛用されている4つのジュース・ショットをご紹介します。
- プロトンで実際に使われている4種類の野菜・果物ジュース
- それぞれの有効成分と、科学的に示されている効果
- 飲むべきタイミング(レース前・レース後・つった時など)
- 実際にプロ選手が使用したエピソード
ブロッコリースプラウトショット
乳酸対策の新星

話題の火付け役となったのが、スウェーデンのNomio社が開発した「ブロッコリースプラウトショット」です。生後間もないブロッコリーの新芽にレモン果汁と砂糖を加えて濃縮した60mlのショットで、成長したブロッコリー3kg分に相当する成分が詰め込まれているといいます。
- 有効成分は「イソチオシアネート(ITC)」というブロッコリー由来の化学物質
- Nomio社の臨床研究によれば、身体的ストレスへの耐性を高める働きがあるとされる
- 運動を制限する要因となる血中乳酸値を抑える効果が謳われている
- トレーニング・レース両方での使用が想定されている
元ロード世界チャンピオンでリドル・トレック所属、2026年ツール・ド・フランスのポイント賞(グリーンジャージ)を獲得したマッツ・ペダーセン選手が、トレーニングとレースの両方でITCを取り入れている代表的な選手として知られています。ただし、パフォーマンス向上やリカバリーのために「自然由来の食材」を活用する試みは、ブロッコリーが初めてではありません。ここから紹介する3つは、プロトンでより長い歴史を持つ定番ジュースです。
タルトチェリージュース
レース後の定番リカバリードリンク

ステージレースのゴール地点で、多くの選手が赤いボトルを飲み干している光景はもはやおなじみです。2025年のブエルタ・ア・エスパーニャで自身初めてグランツール表彰台に立ったトム・ピドコック選手は、レース後に楽しみにしていることを聞かれ、「もうチェリージュースを飲まなくていいことだね」と冗談交じりに答えたほど、21日間続くレース後のルーティンとしてすっかり定着しています。
- 有効成分は「アントシアニン」(チェリーの赤い色素であるポリフェノールの一種)
- 抗炎症作用があり、筋肉痛の軽減と回復の早期化に寄与
- メラトニン(睡眠を調整するホルモン)も含まれ、睡眠の質にも好影響
- 2021年に発表された14件の研究をまとめたレビューでは、激しい運動後の回復を助ける効果が確認されている
- 2010年のノーサンブリア大学の研究では、マラソンランナーの筋肉回復を早める効果が報告された
同大学の研究チームは、変形性関節症や痛風といったリウマチ性疾患の症状緩和にも効果がある可能性を示しています。こうした評判の高さから、タルトチェリージュースは決して安価ではありませんが、一般的なスポーツ栄養製品と比べて特別高いわけでもありません。英国ブランド「Active Edge」のCherryActiveは1リットルボトルで約35ポンド(1杯あたり約1ポンド)、野菜・果物23個分に相当する抗酸化成分が含まれるとされています。
ビーツジュース
レース前の「エンジンを温める」一杯

ビーツジュースの研究は、タルトチェリージュースとほぼ同時期に始まりましたが、ハイパフォーマンス業界での普及はより早く進みました。ブロッコリーショットと同様、運動の150分前までに摂取する「プレワークアウト」的な使い方が一般的です。
- ビーツに含まれる硝酸塩(ナイトレート)が体内で一酸化窒素(NO)に変換される
- 血流を増加させ、運動時の酸素消費コストを下げる効果が確認されている
- 2009年のエクセター大学の研究:1日500mlを3日間摂取すると、高強度運動での疲労困憊までの時間が16%延長
- その後の研究では、70mlの濃縮ショット2本が最適量とされ、摂取後2〜3時間で血中濃度がピークに
- 2017年、23件の研究をまとめたレビューでも、心肺持久系の効率向上や最大強度運動でのパフォーマンス向上の可能性が示された
- 硝酸塩はカフェインと並び、IOC(国際オリンピック委員会)が認める天然かつ合法のパフォーマンス向上成分
エクセター大学の研究チームに実験用のビーツジュースを提供したのは、英国ブランド「Beet It Sport」です。同社の「Nitrate 400」ショット(70ml)は15本入りで約28ポンド。なお、抗菌マウスウォッシュを併用すると、硝酸塩を一酸化窒素に変換する過程を阻害してしまうため、ビーツショットを摂取する際は注意が必要です。
このほか注目の成分として、筋肉のエネルギー産生を助ける「クレアチン」、筋肉の酸性化を緩衝する「重炭酸ナトリウム」、1〜3分程度の短時間・高強度運動向けの「ベータアラニン」なども挙げられます。
ピクルスジュース
「攣った時」の即効レスキュー

ここまでの3つとは違い、ピクルスジュースは運動前後にたっぷり飲むタイプの飲料ではありません。使いどころは、こむら返り(筋けいれん)が起きた「その瞬間」です。筋けいれんは、筋肉が酷使されたり同じ姿勢を長時間続けたりした際に、発汗によってナトリウムやカリウムなどの電解質が失われることで起こるとされています。
突然起こり、動けなくなるほどの痛みを伴うこともあるため、対処には即効性が求められます。通常の電解質ドリンクでは吸収に時間がかかりすぎるのに対し、ピクルスジュースなど「けいれん緩和系」の飲料には酢酸(お酢の主成分)が含まれており、口に含んで少しすすいでから吐き出すだけで、けいれんが和らぐとされています。
なぜ効くのか
お世辞にも美味しいとは言えない強い酸味こそがポイントです。酢酸の刺激が神経に反射的な信号を送り、けいれんしている筋肉の収縮を止めるよう脳に伝えると考えられています。
この仕組みを実際に活用したのが、タデイ・ポガチャル選手です。2025年のパリ〜ルーベで優勝を狙っていた際、レース中にけいれんに見舞われ、チームカーから謎の飲み物を受け取る場面がありました。それが後にピクルスジュースだったことが判明しています。結果的に終盤の落車もあって優勝は逃しましたが、この一杯が苦しい局面を乗り切る助けになったとされています。
もっとも、ポガチャル選手のようにチームカーからスポーツディレクターが手渡してくれるわけではない私たちは、自分で持ち歩く必要があります。「PicklePower Pickle Juice」の75mlショット4本パックはAmazonで約15.45ポンドで購入可能です。
まとめ
チェリーは「レース後のリカバリー」、ビーツは「レース前のパフォーマンス向上」、ピクルスは「けいれん時の即効レスキュー」、そしてブロッコリーは「トレーニング・レース両方での乳酸対策」と、それぞれ役割がはっきりしているのが興味深いポイントです。天然由来とはいえ、効果の感じ方には個人差があります。持病がある方やサプリメントとの飲み合わせが気になる方は、導入前に医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
- John Whitney, “4 performance-enhancing juice drinks that have taken over the peloton”, BikeRadar, 2026年8月9日
