ライド中の炭水化物はどれくらい摂るべき?時間・強度・天候別の補給目安

みぞお
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ロードバイクでの長時間のライドや高強度のトレーニングにおいて、補給の失敗はパフォーマンスの低下やハンガーノックに直結します。しかし、「実際にどのタイミングで、どれくらいの炭水化物を摂取すればいいのか」という具体的な基準については、感覚に頼ったまま走っているケースも少なくありません。

本記事では、EFプロサイクリングの栄養責任者への取材記事をもとに、ライド中の適切な炭水化物摂取量についてまとめています。

ツール・ド・フランスを走るトッププロの極限の補給戦略から、一般のサイクリストにも無理なく応用できる「時間」「強度」「天候」という3つの判断基準を解説します。

また、「強度が上がってきつい時ほど、その場でたくさん食べるべき」というよくある誤解についても触れています。今後のライドにおける補給計画を見直すヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

EFプロサイクリングの栄養記事をまとめました。

Pro tips: How many carbs should you eat on a ride? | EF Pro Cycling

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EFプロサイクリング栄養責任者に聞く

プロ選手たちの補給戦略には、私たちが学べることがたくさんあります。とはいえ、彼らの摂取量をそのまま真似したところで、速く走れるようになったり、ライドがもっと楽しくなったりするわけではありません。プロ選手が口にする補給食・飲料はすべて、選手一人ひとりの体質や、極限まで追い込まれる運動強度に合わせて調整されているからです。

ツール・ド・フランスのようなレースでは、選手は1日あたり最大10,000kcalを消費することもあり、最も過酷なステージではバイク上で1時間あたり120g以上の炭水化物を摂取します。1時間に3〜4本のボトルを飲み干し、電解質と炭水化物をたっぷり含んだAmacx社のバー・ジェル・チュアブルを、心拍数が限界近くまで上がった状態で口にしているのです。摂取するものすべてが、数週間にわたる世界最高峰のレースパフォーマンスのために最適化されています。

では、こうしたプロの補給戦略から、私たちは自分のライドに何を活かせるのでしょうか。EFプロサイクリングの栄養責任者、アナ・カルセラー博士に話を聞きました。カルセラー博士によれば、補給を考えるうえで押さえておくべき要素は「ライドの時間」「運動強度」「天候条件」の3つだといいます。

この記事でわかること
  • ライドの時間別・補給の目安(60分未満/2時間半まで/それ以上)
  • 「強度が上がったら、その場でもっと食べる」が実は逆効果な理由
  • 暑さ・寒さがそれぞれ補給に与える影響の違い

ライドの「時間」で決まる補給量

ライドの補給量は、まずその日の走行時間によって決まります。60〜90分程度のライドであれば、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンだけで十分にまかなえます。2時間半程度までの中程度のライドになると、グリコーゲンの貯蔵量が減ってくるため、炭水化物の摂取が重要になってきます。この場合、1時間あたりAmacxのジェル1本+エナジードリンク1本程度が目安です。さらに長時間のライドになると、補給の成否がパフォーマンスを大きく左右するようになり、特に強度が高い場面では、1時間あたり90g、場合によっては120gという高い摂取量が結果に直結してくるとされています。

カルセラー博士による時間別の目安
  • 60〜90分を過ぎたあたりから、1時間ごとに炭水化物を摂り始める
  • 2時間を超えるライド:1時間あたり約60gが目安
  • 3時間を超えるライド:1時間あたり90g超を意識する
  • 90g/時を超えたあたりから、糖の種類の比率(後述)が重要になってくる
  • 90g/時でもかなり高摂取、120g/時まで上げるのはかなりの量

ここで鍵を握るのが、「ブドウ糖(グルコース)」と「果糖(フルクトース)」の摂取比率です。1時間あたり30〜60g程度の摂取であれば、一般的な比率はグルコース:フルクトース=2:1とされています。しかし90g/時を超えるあたりから、この比率はおよそ1:0.8まで変化し、摂取量が増えるほどフルクトースの割合を高めていく必要があるとされています。

「強度」が上がるほど、実は体は炭水化物を吸収しにくくなる

ツール・ド・フランスの選手たちは、何時間にもわたって平均300ワット以上を出し続けることもあります。だからこそレース中、1時間あたり120g以上の炭水化物を摂取することもあるのです。とはいえ、多くの一般サイクリストはそこまでのパワーを出すわけではないため、もう少し控えめな摂取量の方が適しています。

400ワットを出す人は、同じ時間200ワットを出す人と比べ、おおよそ倍の総エネルギーを消費することになります。ただし、ここで見落とされがちなのが「相対的な強度」です。仮に200ワットがあなたにとってのFTP(閾値パワー)であれば、その出力を軽々とこなせるプロ選手と比べて、あなたはその出力でずっと高い割合の炭水化物を燃焼していることになります。自分にとってきつい強度であればあるほど、より多くの炭水化物が必要になるのです。

よくある誤解:「きつい時ほど、その場でたくさん食べればいい」は間違い

カルセラー博士によれば、運動強度が高くなるほど、体は炭水化物をうまく吸収できなくなるといいます。強度が高い状態では、血流が消化器官から離れ、肺・脚・心臓へと優先的に送られるため、腸の吸収能力が下がってしまうのです。つまり、きつい運動の「最中」に補給するのではなく、その前にあらかじめ補給しておくことで、いざ追い込むタイミングで体内に炭水化物を用意しておくことが重要になります。

「これからVO2maxの追い込みをするから、今すぐたくさん食べておかないと」と考える人は多いものですが、実際には強度の高い運動中は摂取しても吸収されにくいため、追い込みを始める前に見越して補給しておく必要があります。

相対的な強度という観点も重要です。ツール・ド・フランスの選手が閾値よりかなり低い200ワットを維持している場合、その人にとって200ワットが限界に近い一般サイクリストと比べて、燃焼する炭水化物の割合ははるかに少なくなります。これは、自分の能力に対してどれだけエネルギーを使っているか、という相対的な話になってきます。

ツール・ド・フランス級のパワーを出すのでなければ、60〜90分を超えるライドでは、1時間あたり60〜90gを一つの目安にすると良いでしょう。

「天候条件」も補給戦略を左右する

補給計画を立てるうえで、天候も重要な要素です。非常に暑い環境では、バイク上での固形物の摂取が難しくなることが多いため、液体からのカロリー摂取を増やすのも一つの方法です。また猛暑・厳寒どちらの環境でも、体温を維持するために体は多くのエネルギーを消費するため、特に長時間のライドではより多くの補給が必要になることがあります。

暑さ・寒さがそれぞれ与える影響
  • 暑さ:炭水化物を酸化(エネルギーとして利用)する能力が大きく低下する。特に女性選手で顕著とされる
  • 暑さ対策:だからこそ暑熱環境での「ガットトレーニング(腸を慣らすトレーニング)」が重要
  • 暑さの仕組み:発汗・体表からの熱放散のため血液が皮膚へ優先的に送られ、腸への血流・炭水化物の吸収が低下する
  • 寒さ:吸収面ではさほど問題にならない。体は四肢への血流を抑え、血液を体幹に集中させるため、腸の吸収機能はあまり影響を受けない
  • 寒さの注意点:むしろ問題になりやすいのは「食感」。バーやジェルが硬くなり、食べづらくなる
  • 共通点:暑さ・寒さいずれでも体温調節にはエネルギーコストがかかり、1時間あたりおよそ200〜300kcalの追加消費が発生する

まとめ

ライドの「時間」「強度」「天候条件」という3つの要素を踏まえて補給戦略をカスタマイズすることで、プロの理論を自分のライドにも無理なく取り入れることができます。特に「きつい時ほど、その場で食べればいい」という思い込みは見直す価値がありそうです。むしろ追い込みの前にしっかり補給しておくことこそが、本番でのパフォーマンスを支えるポイントだといえるでしょう。

出典
  • “Pro tips: How many carbs should you eat on a ride?”, EF Pro Cycling(EFプロサイクリング栄養責任者 Dr. Anna Carcellerへの取材)、2026年8月11日
  • https://www.efprocycling.com/tips-recipes/pro-tips-how-many-carbs-should-you-eat-on-a-ride/

※本記事は一般的な栄養情報の紹介を目的としたものであり、個々の体質や持病に応じた指導の代わりになるものではありません。摂取量の調整にあたっては、必要に応じて医師や管理栄養士にご相談ください。

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ABOUT ME
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おっさんサイクリスト
関西在住の自転車DIY愛好家。 「自転車組立はプラモデルみたいで面白そう」という直感をきっかけに、ロードバイクの世界へ。 現在は、自転車の組立(バラ完)・メンテナンス情報のほか、10年以上続くフェリー輪行旅の記録、さらに家電修理などのライフハックも発信中。 「自分の手で直して楽しむ」をモットーに、初心者でも真似できる等身大のDIY記録を綴っています。
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