ポガチャルがUAEチームエミレーツと契約延長へ。2032年までの現役続行と今後の展望
現在、サイクルロードレース界で圧倒的な実績を残しているタデイ・ポガチャル選手について、今後のキャリアを決定づけるニュースが報じられました。

オランダの自転車メディア『WielerFlits』などの報道によると、ポガチャル選手は所属するUAEチームエミレーツとの契約をさらに延長し、最長で2032年まで現役を続行する可能性が浮上しています。以前囁かれていた「2028年引退説」を事実上撤回し、キャリアの終盤まで同チームで走る意志を示した形です。
本記事では、この長期契約延長に関する海外報道の詳細や、報じられている巨額の推定年俸、そして目前に迫ったブエルタ・ア・エスパーニャをはじめとするポガチャル選手の「未勝利レース」へのモチベーションについて整理して紹介します。
歴代の王者たちと同様に、圧倒的な強さゆえの賛否両論も巻き起こる中、彼が今後どのようなキャリアを歩むのか。今後のロードレース観戦の参考としてご覧ください。
オランダのWielerFlitsの記事をまとめました。
Tadej Pogačar verlengt contract bij UAE Emirates tot 2031/2032
ポガチャル、UAEチームエミレーツと契約延長へ
タデイ・ポガチャル選手が、このまま新契約を満了まで走り切れば、今後さらに5〜6シーズンにわたって現役を続けることになりそうです。オランダのメディアWielerFlitsによると、UAEチームエミレーツ-XRGとスロベニア人世界チャンピオンが新たな契約に合意したとのことです。この情報は英国人記者ダニエル・ベンソン氏の報道が最初に伝え、WielerFlitsも独自に取材を通じて新契約の存在を確認したとしています。
- 現行契約(2030年まで)に加え、さらに1〜2年の延長が交渉されている
- 複数の情報筋によれば、最長で2032年末までの契約となる可能性
- 満了時、ポガチャル選手は34歳。一般的にキャリア終盤とされる年齢
- 詳細な条件は、今週末開幕のブエルタ・ア・エスパーニャに合わせてモナコで協議される見通し
- 前回(2024年末)の契約延長時、基本年俸は推定約14.8億円だったと報じられている
まずは1年延長から交渉スタート、最終的には2032年までの可能性も
契約の詳細については、今後数日間モナコで話し合いが行われる予定です。ポガチャル選手のマネージャーを務めるアレックス・カレラ氏はWielerFlitsの取材に対し、金曜日にUAEチームエミレーツ-XRGの代表マウロ・ジャネッティ氏と会談する予定であることを明らかにしています。カレラ氏によれば、まずは現行契約を1年延長し、2031年までとする案がこちら側の提案だといい、まだ詰めるべき詳細は多く残っているものの、1年延長についての協議自体は事実として認めたうえで、ジャネッティ代表やチーム側の考えにも耳を傾けたいとしています。
一方でWielerFlitsが複数の情報筋から得た情報によれば、実際にはさらに踏み込んだ、2032年末までの新しい・より充実した内容の契約で合意している可能性もあるとのことです。もしこの契約を満了まで全うすれば、ポガチャル選手はその時点で34歳。一般的には自転車選手としてキャリアの終盤に差し掛かる年齢ですが、裏を返せば、私たちはあと最大6シーズン、ポガチャル選手の走りを楽しめる可能性があるということになります。
- 伊ガゼッタ・デロ・スポルト紙の報道:基本年俸(ボーナス抜き)は推定800万ユーロ ― 日本円で約14.8億円
- 2030年までの契約期間で、総額最低4,800万ユーロ ― 日本円で約88.6億円を得る計算になると報じられた
- 今回の契約延長では、この金額がさらに上乗せされるとみられている
※上記の円換算は、2026年8月20日時点の為替レート(1ユーロ=約184.6円)で算出した参考値です。実際の契約金額や為替レートは変動する可能性があります。
目前のブエルタで「未勝利タイトル」の消化を狙う
今週末、世界チャンピオンはブエルタ・ア・エスパーニャ2026のスタートラインに立ちます。今大会はポガチャル選手の拠点でもあるモナコから開幕し、契約交渉の詳細も、このモナコ滞在中に両者で詰められる見通しです。ポガチャル選手にとって今大会は、今年すでに制したミラノ〜サンレモ、ロマンディ・ツアー、ツール・ド・スイスに続き、「まだ勝ったことのないレース」をまた一つ消化する機会という位置づけでもあります。
ブエルタの後には、パリ〜ルーベがポガチャル選手にとって次なる「未消化」の大目標として控えています。そのほか、ツール・ダウンアンダー、オムローム・ヘット・ニュースブラッド、イン・フランダース・フィールズ(旧ヘント〜ウェヴェルヘム)、バスク一周、エシュボルン〜フランクフルト、クラシカ・サンセバスティアン、ポーランド一周、ルネヴィ・ツアー、ブルターニュ・クラシック、ツール・オブ・広西など、まだ制していないワールドツアーレースは数多く残されています。オリンピックの金メダルも未獲得で、2021年に銅メダルを獲得したのみです。
もっとも、これらすべてを制覇するのは現実的には難しいでしょう。とはいえ、この一覧はポガチャル選手が今なお何にモチベーションを見出しているかを物語っています。過去5シーズン連続でUCIランキング1位に君臨し、昨夏にはツール・ド・フランスの総合優勝回数で歴代タイ記録に並びました。マーク・カヴェンディッシュ選手が持つツール通算最多ステージ優勝記録(35勝)まで、残りわずか9勝に迫っています。

モニュメントでも記録更新中 ― 「一強」への賛否
ポガチャル選手は、イル・ロンバルディアを直近5大会連続で制し、単独最多優勝記録を保持しています。ツール・ド・フランドルでも3勝を挙げ、同様に記録保持者の一人となりました。比較的歴史の浅いUAEツアー(総合3勝)やストラーデ・ビアンケ(4勝)でも圧倒的な実績を残しています。世界選手権ロードレースでも3連覇となれば、史上最多記録となる見込みです。
このニュースを受け、WielerFlitsの読者コメント欄では賛否両論の反応が寄せられています。「あと6年もポガチャル選手の走りを楽しめる」と歓迎する声がある一方、レースの結果が事前にほぼ見えてしまうことへの物足りなさを指摘する声、UAEチームのスポンサー背景そのものへの批判的な意見も見られました。とはいえ、メルクス、イノー、インデュライン、アームストロング(のちに記録取り消し)、フルームといった歴代の「支配的な選手」の時代にも、同様の賛否が繰り返されてきたという指摘も出ています。
以前ちらついた「2028年引退説」、今は否定
UAEチームエミレーツ-XRGとはこれまで2030年末までの契約が続いていましたが、昨年のツール・ド・フランス後には、2028年ロサンゼルス五輪を一つの区切りとする考えをポガチャル選手自身がほのめかしたことがありました。9月21日に28歳の誕生日を迎える同選手は、ロス五輪の時点でおよそ30歳になる計算です。
しかし昨年11月、伊ガゼッタ・デロ・スポルト紙のインタビューでこの発言を撤回し、2028年での引退は考えたことがないとし、2030年までの契約に署名した以上はそれを全うするつもりであり、その気がなければ最初からその期限で契約しなかったはずだと説明。自分がUAE以外でプレーする姿は想像できず、2030年以降も現役を続けるとすれば、それはほぼ間違いなくこのチームでのことになるだろう、という趣旨のコメントを残していました。
まとめ
今回の契約延長交渉は、まさにこの「UAE以外は考えられない」という本人の発言を裏付ける形での進展といえそうです。詳細は今週末、ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕に合わせてモナコで詰められる見通しで、正式発表があり次第、続報をお伝えします。
- Youri IJnsen, “Tadej Pogacar breekt zijn contract bij UAE Emirates XRG open tot en met 2031 of 2032”, WielerFlits, 2026年8月19日
