かつての自転車通販最大手「Wiggle」の歴史に幕。サイト機能停止と買収劇の背景
かつて自転車用品のオンライン通販最大手として世界中のサイクリストに利用された「Wiggle(ウィグル)」および「Chain Reaction Cycles」のウェブサイトが機能停止したことが、海外メディアの報道により明らかになりました。
現在、両サイトにアクセスすると別会社のサイトへ自動転送される状態となっており、事実上の完全消滅と見られています。
本記事では、英自転車専門メディア『Cycling Weekly』の報道をもとに、サイト消滅に至った経営破綻の背景や、巨大グループによる買収劇から現在までの経緯を客観的に整理して解説します。
Cycling Weeklyの記事をまとめました。
Is Wiggle well and truly dead? Former retail giant’s website is no more | Cycling Weekly
「Wiggle」、ついに完全終了か
かつて自転車業界のオンライン通販最大手として名を馳せた「Wiggle」。その名残を示すサイトが、ついに姿を消した。現在、wiggle.comおよびchainreactioncycles.comにアクセスし、在庫を確認しようとした顧客・閲覧者は、いずれも「Evans Cycles」のメインサイトへと転送される仕様になっている。これにより、かつて自転車業界のオンライン小売で最大級の存在感を誇ったブランドが、今度こそ完全に姿を消したのではないかという見方が広がっている。
- wiggle.com、chainreactioncycles.comの2サイトが、現在は「Evans Cycles」へ自動転送される状態に
- WiggleCRCは2023年10月に経営破綻手続きに入り、約400の債権者に対し多額の負債を抱えていた
- 2024年2月、マイク・アシュリー氏率いるFrasers Groupが、かつて2億ポンド超の価値があったとされる資産を、わずか300万ポンドで買収
- 従業員約450名のほぼ全員が解雇されていたことも判明していた
※金額は英国での報道時点のポンド建て金額をもとに、2026年9月時点のレート(1ポンド=約216円)で円換算した参考値です。
経営破綻から数奇な買収劇へ
Cycling Weekly誌は、かつてのオンライン通販の巨人「WiggleCRC(Wiggle Chain Reaction Cycles)」の苦難の道のりを、2023年10月に親会社SSUの経営破綻申請を受けて同社が経営破綻手続きに入って以来、継続的に報じてきた。当時、約400の債権者に対し数百万ポンド規模の負債を抱えていたとされている。
翌2024年2月、WiggleCRCはマイク・アシュリー氏率いるFrasers Groupに買収された。この買収は、かつて2億ポンド(約432億円)を超える価値があったとされる資産を、当初報じられた金額でも1,000万ポンド(約21.6億円)未満という安値で取得したことが判明し、大きな話題を呼んだ。買収を主導したのは、アシュリー氏の娘婿にあたるマイケル・マレー氏率いる同グループだった。その後、実際にFrasers Groupが支払った金額はわずか300万ポンド(約6.48億円)だったことも明らかになっている。この買収に伴い、従業員約450名のほぼ全員が解雇されていたという。
Frasers Groupは以前にも同様の動きを見せている。2018年には、実店舗・オンライン両方で展開していた小売業者「Evans Cycles」を800万ポンド(約17.28億円)で買収。買収から3年後には300名の従業員を解雇し、残った従業員はゼロ時間契約(勤務時間保証のない雇用形態)に置き換えられていたという。
Frasers Groupという「巨大グループ」の実態
Frasers Groupは、主力事業「Sports Direct」を中心に、自転車小売の「ProBikeKit」、ドイツのチェーン「SportScheck」、高級百貨店「Harvey Nichols」、さらには「ヒューゴボス」の大株主としても知られる巨大グループだ。
- 税引前利益:5億3,800万ポンド(約1,162.1億円)
- 純負債:前年の9億4,100万ポンド(約2,032.6億円)から12億6,000万ポンド(約2,721.6億円)へ増加
- 負債増加の背景には、複数企業の積極的な買収戦略があるとされる
「3つの看板」を維持する戦略から一転
WiggleCRC買収後、Frasers GroupはWiggle・Chain Reaction Cyclesの両サイトを、Evans Cyclesとは別サイトとして再稼働させていた。これは「欧州No.1のスポーツ用品小売業者になる」という同グループの目標達成に向け、あえて3つのオンライン店舗を並行して維持する狙いがあったとみられている。
今回、その戦略が転換した可能性
今回、2つのURLがともに機能を停止したことで、この「3サイト並行維持」戦略に変化があったとみられ、WiggleとChain Reaction Cyclesという2つのブランド名が、事実上その役目を終えたことを示唆している。Cycling Weekly誌はFrasers Groupにコメントを求めているとのことだ。
まとめ
かつて自転車通販業界を象徴する存在だったWiggleとChain Reaction Cyclesが、静かにその歴史に幕を下ろした形だ。以前お伝えしたラレー・ラピエールの親会社アクセルの経営破綻の件も含め、近年は業界内で大手ブランドの再編・消滅が相次いでいる。今回のケースも、その一つの象徴的な出来事と言えそうだ。
- Pat Kinsella, “Is Wiggle well and truly dead? Former retail giant’s website is no more”, Cycling Weekly, 2026年9月11日

