[BROMPTON]内装3段のリアハブを修理しました
内装3段リアハブ
フリマサイトで、中古購入した2002年モデル(イギリス製)のブロンプトンは、変速が動かないと書いてある通り動きませんでした
固着しているのか?
変速レバーを動かしてもハブにつながるチェーンは動きませんし、手で引っ張っても硬い
メンテナンス・分解
ハブを固定しているナットを緩めて、シャフトを取り出しました
油汚れが酷い
油が固まった歯石のような汚れがいっぱいですし、古い機械オイルの臭いが部屋中に充満しました
破損部品
外部につながる変速チェーンを固定する部品が割れていました
この部品をどうするかを考えていきます
変速チェーンは固着
動かなかった変速チェーンは、油の塊で固着していました
Sachs(SRAM) SPECTRO T3
2002年モデルのブロンプトンにアセンブルされているパーツは、スターメーアーチャーが経営破綻していた期間に使われていたSachs製(ドイツ)です
パーツ表
ネットで見つけたパーツ表だと、12番の部品が壊れています
変速をするための重要なパーツ
シマノ内装3段(シマノ インター3 分解図)
ママチャリでよく使われているシマノ製(インター3)だと、パーツがすぐに手に入りそうですが、機構が違うので流用できる部品はなさそう
- Sachs(SRAM) SPECTRO T3
- 初期位置から引っ張ると変速が軽くなる
- SHIMANO INTER3
- 初期位置から押し込むと変速が重くなる
ギアの並び・挙動は似ているが、変速時の動作が違う
考えられる対処法
壊れたパーツを修理・調達など、できる事を書き出しました
- 変速は諦めて、シングルバイクで運用する
- 修理する
- 部品を購入する
- 代替品を購入する
- パーツをオーダーメイドする
シングル化
変速機能は失われますが、シングルバイクとしては使えるので、最悪乗れないことはない
修理(接着)
無理だと分かっているけど、アロンアルフアで接着してみました
高級なタイプを購入してみました(約500円)
失敗
接着面が小さすぎるので、固定しても強度がありません
部品購入
20年以上前の部品ですし、製作した会社もSRAMに変わっているので、現行品はありません
長く営業している自転車屋に在庫を持っていないか確認する
代替品購入
現行ブロンプトンに採用されているスターメーアーチャー製のホイール・ハブを購入する
互換性があるのか確認し、最悪変速機なども調達する
オーダーメイド
ワンオフでパーツを作ってくれる業者に作ってもらう(高価を覚悟する)
- 鉄加工業者
- 3Dプリンター業者
ミニベロ専門店に問い合わせ
付き合いのないショップばかりなので、メールの返事は、ほとんど返ってきませんでした
- 対応できません
- 現行ホイールに交換をオススメします
- 中古品などから部品取りをして修理をしているので、個別販売できない
この方法は難しい
ワンオフ品製作業者に問い合わせ
ネットで調べた鉄加工業者などに問い合わせるには、正確な図面が必要なので、それをどうするかで頓挫しました
知り合いの技術者に相談したら1万円くらいで作れると返答をもらいました
予想通り1万円程度の加工費が必要
代替品を調べる
ネットを使って、新品・中古品のホイール・ハブを検索しました
- 新品ホイール5万円弱(スターメーアーチャー)
- 新品ハブ3万円弱(スターメーアーチャー)
- 中古ハブ2万円程度(スターメーアーチャー:稼働品)
- 中古ハブ1万円程度(スターメーアーチャー:ジャンク)
- 台湾製ブロンプトン10万円程度
- Sachs製の可能性あり
- Sachs製のハブやホイールは見つけられず
スターメーアーチャー製品の互換性
メンテナンスの記事がいくつか検索で出てきたので、目的のパーツ(「アクスルキー」と言うらしい)が四角の棒にインジケーターチェーンを繋ぐネジ穴が開いているものだと分かりました
同じような作りなので、試す価値あり
壊れたパーツ(アスクルキー)は、シンプルなものだと気が付く
説明用図面作成
3Dプリンターを持っている友人に、部品製作可能か確認するための図面を作成し、問い合わせをしました
友人所有の3Dプリンタでは強度がない(プラスチック製になる)
シンプルな構造
図面化すると、シンプルな作りで、必要なことがはっきり分かりました
- 4mmの鉄棒を用意する
- 必要な長さにカットする
- センターにネジ穴を開ける
アクスルキーを自分で作れそうな気がしてきました
アクスルキーを自作する(人柱好き)
ワンオフで作るための図面(簡易的なもの)があり、構造もシンプルな部品だから、DIY(自作)することにしました
- 図面あり(簡易的な説明用)
- 構造シンプル
- 小さな部品(4×4×18mm)
- センターに穴を開けて、ネジ切り
- 取付位置に合わせて、サイズを調整する
- アルミなら加工しやすい
- 不具合があっても命にかかわる事故につながらない
部品調達
4mm角のアルミ棒を検索すると丸棒しかないので、これを加工することにします
近所のホームセンターで買ったので、1mも長さがある丸棒しか用意できず、大量に余ります
工具調達
穴径が2mmなので、恐らくM2ネジだと判断してタッピングや下穴用のドリルを購入しました
使用工具類(新規購入・持っているものを含む)
- 電動ドリル
- ハンドドリル
- 1.5mmビット
- M2とは違う場合を考慮して前後数サイズ用意しました
- M2タッピング
- M2とは違う場合を考慮して前後数サイズ用意しました
- 万力
- 鉄用のこぎり
- 鉄用棒ヤスリ(平面・丸)
- 証拠隠滅用の掃除道具
- 専用作業場がないので、これ重要
工程(1)マーキング
カットする位置・センター位置(ネジ穴)をマーキングします
工程(2)下穴を開ける
ハンドドリルを使って穴を開けます(先にヤスリで平面削りだしておいた方が楽)
2mm以上削れたら、位置がずれないように注意して電動ドリルに切り替えました
工程(3)タッピング
ハンドドリルにビットを装着し、M2ネジ切りを行いました
工程(4)カット
マーキングしていた位置より少し長めにカットします(切り口を均しながら、長さ調整)
新旧比較
まだ完成ではありませんが、壊れたパーツと切り出したパーツで大きく相違がないか確認しました
工程(5)整形
丸棒4mmでは、少し形が違うので、ヤスリを使って削って形を整えました
上面と左右面を少しずつ削りました
加工終了
シャフトの取付穴に、収まるように何度か削り直して、この形で完成です
工程(6)取り付け
シャフトに取り付けて、インジケーターチェーンを取り付けました
工程(7)動作確認
ホイールを本体に取り付けて、チェーンを引っ張ったら、変速位置が動くことを確認できました
ここまでの工程について
壊れた内装3段のパーツ入手方法を検討した結果、DIYで作れると判断し、作業を行ったら、うまくいきました
強度の問題
信頼している技術者(自転車屋)に、アルミ棒で代用品を作成したことを伝えて、今後起こる問題を確認しました
- アルミの強度なら、1年程度は問題なく割れずに使えると思う
- 作り方が確立しているのなら、鉄で同じものを作れば安心
余った材料
購入した1m丸棒の20mmしか使っていないので、残りで予備を作ろうと思いますが、それでも余る
素人製作の精度が低いことを条件でネットで売ったら、代用品として売れるかな?
1000mmアルミ棒があって、1個の長さ18mm切り出しなので50個くらい作れますね
鉄で挑戦
強度の問題を指摘され、鉄棒で同じ工程をやってみました
作業失敗
鉄棒(丸棒4㎜)を購入して、同じように作業を行ったら、失敗しました
タッピング折れる
電動ドリルを駆使し、1.5mm穴あけまでは出来たのですが、ネジ切り中、M2タップが折れました
センターもずれている
ハンドドリルで穴位置を決めてから、すぐに電動ドリルを使ったため、穴位置がずれています(写真では分かりにくい)
作業改善
工具買い直しの他に、作業を失敗しない対策を考えました
工具は日本製
M2タップが折れてしまったので、再度購入しますが、今度は日本製品を購入しました
しっかり削れるNo.1をメインに使うので、他(No.2、No.3)は不要
ドリルオイル購入
少ししか削らないから不要だと思っていましたが、安全対策も考えて購入しました
成功
アルミ棒の作業に、ドリルオイル使用・工具を日本製に変更して、同じものが出来ました
手前:アルミ棒/奥:鉄棒
予備も作る
作業には慣れてきたので、予備分も作りました
交換は次回メンテナンス時
すぐに交換してもいいのですが、現状問題ないし、アルミ棒は1年位問題なく使えるのかテストをするため、鉄棒で作ったアクスルキーは保管しておきます
まとめ
20年以上前ブロンプトンの内装3段の不具合箇所(破損)を自作で対応しました
Sachs SPECTRO T3
ブロンプトンで使われていたのは4年程度だった部品なので、部品を手に入れるのは絶望的でした
アルミで作成
自作できるかもと、部品や工具を集めて、作ってみたら、意外と簡単に作れた
鉄で作成
アルミでは強度不足が心配されるので、鉄でも同じものを作りました
硬さの違い
鉄とアルミでは2倍くらい物質の硬さが違うので、同じ方法では工具を破壊してしまった
改善点
鉄加工は、ネットを調べれば色々な方法が紹介されているので、当たり前に行われていることで、失敗せずに作業を行えた
- 質のいい工具を使う
- ドリルオイルを使う
- 適正な工具の使い方をする
- ネジ切りは少しずつ削っていく
簡単な部品ならDIY
今回の経験で、自転車の部品で形がシンプルなものに関しては、DIYで対応できると自信が付きました
図面を書く
できるだけ正しい数値を測って、正しい形を理解すれば、対応できる可能性がある
テスト版を作る
簡単に作れそうな材料で、サンプル(テスト)版を作成する
本番を作る
テスト版を作成できたら、必要な工程が見えてくるので、難しい材料での作業も行える
レストア完了
20年以上前のブロンプトン(故障あり)を、外を快適に走れるようにレストア(修理)できました