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【風洞実験】最速のエアログラベルホイールは?人気8機種の風洞実験結果を徹底比較

みぞお
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グラベルバイクのレースシーンが高速化するにつれ、「太いタイヤ」と「空力性能」をいかに両立させるかが機材選びの重要なテーマとなっています。幅広のグラベルタイヤは荒れた路面での転がり抵抗を減らす一方で、空気抵抗の増加を招くというジレンマを抱えています。

本記事では、海外自転車メディア『Cyclingnews』が英シルバーストーンの風洞施設で実施した、エアロ×幅広グラベルホイール8機種の空力性能テストの結果を解説します。Enve、Zipp、Black Inc、Rovalなどの注目ブランドが、空力性能や重量面でどのような結果を残したのか、客観的なデータをもとに整理しました。

Cyclingnewsの風洞実験レポートをまとめました。

Wind tunnel tested: Who makes the fastest deep aero wide gravel wheels? | Cyclingnews

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最速のエアロ×幅広グラベルホイールは?

10年前を振り返れば、グラベルバイクはまだ生まれたばかりの存在だった。グラベルレースはシクロクロスの一亜種のような扱いで、「最適化」という発想自体が「グラベルの精神に反する」と一蹴されていた時代だ。しかし現在、その”精神”はもはや過去のものとなり、エアロチューブ、ディープリムホイール、幅広タイヤ、スキンスーツ、そして緻密な糖質摂取計画がその座に取って代わっている。

賞金が増えるにつれ競争は激化し、平均速度は急上昇。牧歌的だったこの競技は、パフォーマンスエンジニアリングという発想に置き換わりつつある。ここ数年で登場した「エアログラベルホイール」の一群ほど、現代のグラベルレースを象徴するものはないだろう。太いタイヤほど荒れた路面を滑らかに転がることはよく知られているが、太い分だけ空気抵抗も大きくなる。設計者たちは「できる限り太いタイヤを収めながら、できる限り空力性能を高め、しかも重くしすぎない」というパラドックスに挑んでいるわけだ。

その結果生まれたのが、Zipp「303 XPLR SW」、Enve「G SES 6.7」、Black Inc「Sixty Four Gravel」といったホイール群。いずれもロードバイク用のディープリムに匹敵する深さを持ちながら、実質的に(そして文字通り)MTB用タイヤを収める設計になっている。今回はCyclingnews誌のテストチームが、英シルバーストーン・スポーツ・エンジニアリング・ハブの風洞施設で、この技術競争の行方を検証した。

この記事のポイント
  • 最速だったのはBlack Inc「Sixty Four Gravel」、僅差でEnve「G SES Pro 6.7」が続く
  • 英ブランドHuntの未発表モデル「5AM Gravel」が3位に、Roval「Terra Aero CLX」と統計上ほぼ同着
  • 「エアロ系」と「快適性重視系」の差はわずか約5ワット程度にとどまる
  • 空力性能が高いホイールほど重くなる傾向がある中、Cadexは軽さで際立つ結果に

※価格は米国・英国での参考価格をもとに、2026年9月時点のレート(1ドル=約159円、1ポンド=約216円)で円換算した参考値です。

テスト対象の8機種

テストチームが選んだのは、幅広の内幅リム・太めタイヤへの最適化・ディープリムという条件を満たす、レース志向の強い8機種だ。

モデル参考価格
Enve G SES Pro 6.7約49.3万円(3,100ドル)/約75.6万円(3,500ポンド)
Scribe Gravel Ultra(Berdスポーク仕様)約31.8万円(1,999ドル)/約31.3万円(1,449ポンド)
Cadex Max GXR約63.6万円(4,000ドル)/約75.6万円(3,500ポンド)
Gulo Composites GGA 44約37.3万円(2,345ドル、英国では未発売)
Hunt 5AM Gravel(5AMG、未発表モデル)価格未定
Zipp 303 XPLR SW約35.0万円(2,200ドル)/約34.6万円(1,600ポンド)
Roval Terra Aero CLX約54.0万円(3,398ドル)/約64.8万円(2,998ポンド)
Black Inc Sixty Four Gravel約38.1万円(2,399ドル)/約47.5万円(2,199ポンド)

テスト方法・プロトコル

テストは全てシルバーストーンの著名な風洞施設で実施された。空気抵抗の計測に加え、各ホイールセットの重量測定、タイヤ幅の実測も行っている。全ホイールは同一のグラベルバイク、新型かつやや個性的な外観の「Factor Elara」に装着してテストされた。Elaraを選んだ理由は、同モデル自体の空力性能検証も同日に予定していたこと、そして今年登場したエアログラベルレースバイクの中でも最も割り切った設計だったためだという。

テスト条件
  • ライダーを乗せない「バイク単体」での計測(人体の動きによる誤差を排除するため)
  • 全ホイールにVittoria「Terreno Dry」55mm(2.2インチ)タイヤを統一装着
  • ブレーキローターは取り外し、SRAM Redカセットを共通使用
  • 風速35km/h、ローラーも同速度でホイールを回転させて計測
  • ヨー角7段階(-15°〜+15°)でそれぞれ15秒間の静止データを取得
  • 誤差範囲は35km/hにおいて約0.2ワット(基準バイクの反復計測により算出)

いくつか留保すべき点もある。Black Inc社はFactor社の傘下ブランドであるため、テストにFactor Elaraを使用したことが結果に影響した可能性は否定できない。また、ライダーを乗せない状態でのテストのため、実際の使用状況を完全には再現できていない点にも注意が必要だ。SpecializedやGiantは脚が動くマネキンを使ったテストを行っており、実際にライダーが乗った状態では、空力性能の順位が変動する可能性がある(過去のロードバイクテストでも同様の傾向が確認されている)。さらに、空力性能はホイール選びの一要素に過ぎず、重量・価格・組み立て品質・アフターサービスなども重要な判断材料であることも忘れてはならない。

結果 ― 最速は僅差でBlack Inc、Enveが追う展開

最も速かったのはBlack Inc「Sixty Four Gravel」だった。内幅30mm、外幅40.25mm、フック付きビード、そして名前の通り64mm深のリムプロファイルを採用している。

僅差で続いたのがEnve「G SES Pro 6.7」。今回のテストで最も広い内幅35mmを誇り、外幅は42.6mm、フックレスビードを採用(下記のZipp・Huntも同様)。リア67mm・フロント60mmとやや前後で深さが異なる設計で、価格帯も今回のテストの中でトップクラスに高い。

3位は、英国ブランドHuntが未発表の状態でテスト提供した「5AM Gravel(5AMG)」。フロント54mm・リア49mmという「リバースマレット」構成で、内幅27mm・フックレスビード、フロントは45mmという厚みのある外幅でフロントタイヤからの気流をコントロールする設計だ。

Hunt社エアロ担当者のコメント

テスト用にZippのホイールも貸与してくれたHunt社のエアロ専門家パディ・ブラウン氏は「今回のテストで最軽量クラスの一角でありながら、空力性能でもトップ付近に食い込めたことは、この製品の開発努力を裏付けるものであり、非常に誇らしく思う。幅広のフロントリムプロファイルは実際に高い空力効率をもたらしており、ロードで培った”エアロマレット”の考え方がグラベルでも通用することが改めて証明された」とコメントしている。

興味深いことに、Hunt(未発表モデル)とRoval「Terra Aero CLX」の結果はほぼ完全に一致した。差はわずか0.001ワットで、誤差範囲(0.2ワット)を考えれば事実上「同着」と言っていい。RovalのTerra Aero CLXも同様のリバースマレット構成、内幅27mmだが、Specializedはフロントリムの後端を角形にカットする独自の「チョップドエアロ」設計を採用。より深いリムと同等の空力性能を、より軽い重量で実現していると謳っている。

そこから続くのがZipp「303 XPLR SW」。Black Incとの差はわずか1.9ワットにとどまる。深さ54mm、内幅32mm(フックレス)、外幅40mmという構成で、このジャンル(エアロ×幅広グラベルホイール)そのものの火付け役と言えるモデルだ。価格帯もこの中では相対的に手頃で、発売から数年が経つため、セール品を見つけるのも難しくない。

続くCadex「Max GXR」は、上記のモデル群ほどの深さはないものの、内幅25mm・外幅35mmとやや控えめな数値ながら「エアロ&ワイド」を謳う一台。重量面では後述の通り優秀な結果を残しているが、価格はこの中で最も高い設定となっている。

「快適性重視」の2機種

残る2機種は、そもそも「エアロ」ではなく「振動吸収性」を主眼に置いた製品だ。まずScribe「Gravel Ultra」は、Berd社製ポリマースポーク(実質的には”紐”のような素材だが、強度対重量比は驚異的)を採用。内幅30mmは今回のテストの中でも最大級だが、フック付きビードを採用している点は一部の購入者にとって有利に働くかもしれない。今回のテストの中で最も手頃な価格でもある。

そしてGulo「GGA 44」も同じくフック付き30mm内幅を採用しているが、Berd製ではなく自社設計のカーボンスポークを使用。価格はこのグループの中では手頃な部類に入るものの、風洞テストの結果、重量ともに他を圧倒するには至らなかった。

重量 ― 空力性能とはほぼ「反比例」の関係

重量を比較すると、上記の空力性能の結果とはおおむね逆の傾向が見られた。空力性能が高いホイールほど重くなる傾向にあり、ZippとGuloはややその例外(空力面の不利を重量の軽さでも取り戻せていない)という位置づけだ。その他では、RovalとHuntのどちらを選ぶかは非常に悩ましい選択となりそうで、Cadexはヒルクライマー向けの選択肢として存在感を放っている。

タイヤ幅の実測

55mmと表記されていたVittoria「Terreno Dry」タイヤは、どのホイールに装着してもノギスでの実測では55mmを下回った。最も幅広だったのはEnveのホイールで54.9mm、最も狭かったのはCadexのホイールで51.0mm。リム幅とタイヤ幅の間には、当然ながら一定の相関関係が見られた。

結論と考察

まず言えるのは、55mmという太めのタイヤを履かせた状態でも、グラベルには確かに追求すべき空力性能の余地があるという点だ。太いタイヤがホイールの空力設計の意図を台無しにしているわけではなく、リムの深さと空力性能の間には強い相関関係が見られた。

もちろん誰もが平均35km/hで走るわけではないが、落車後に集団へ復帰する場面や、ブレイクアウェイに追いつく場面など、通常より高い速度域が求められるレースの局面では、空力性能の恩恵を活かせる場面は確実に存在する。とはいえ重量も依然として重要だ。ロードよりもグラベルの方が転がり抵抗の影響が大きく、転がり抵抗は質量に比例して増加するため、グラベルにおいては重量がロード以上に購入判断で重視されるべき要素だという指摘には説得力がある。おまけに、多くのグラベルレースは意外なほどアップダウンが激しいものだ。

まとめ

風洞実験の結果、太いグラベル用タイヤを装着した状態でもホイールの空力設計は確実に機能し、リムの深さと空力性能の間に強い相関があることが実証されました。一方で、空力性能に優れるモデルは重量が増す傾向にあるため、コースの起伏や路面状況に応じて「空力」と「軽さ」のバランスを見極めることが求められます。平坦基調で高速巡航が続くレースではエアロ重視のモデルが有利に働く半面、アップダウンの激しいルートでは軽量性や快適性に特化したホイールが真価を発揮します。自身のライディングスタイルや目標とするレースの特性に合わせて、最適なホイールを選ぶための基準として活用してください。

今回のテストから見える「選び方」の目安
  • Black Inc・Enveは最速だが、その分重量面では不利
  • RovalとHuntは「1ワットの空力性能」と「約350gの軽量化」を天秤にかけた、絶妙なバランスの選択肢
  • 平坦基調のグラベルタイムトライアルを狙うなら、エアロ性能重視の選択が有利
  • 路面が荒れている、速度が上がりにくい、あるいは集団の風除けの恩恵を受けやすいコースなら、快適性重視のGulo・Scribeも十分に検討の価値あり
  • エアロ勢と快適性重視勢との差は、全体でもおよそ5ワット程度に収まる

なお今回のテストでは「転がり抵抗」のデータは取得していない。荒れた路面において、Berdスポークが実際に5ワット以上の差を生むのかどうか、あるいはEnveホイールの実測タイヤ幅の広さがそれを相殺するのかどうかは、風洞実験だけでは分からない部分だ。この点については、今後改めて転がり抵抗テストで検証したいとしている。

出典
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みぞお
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おっさんサイクリスト
関西在住の自転車DIY愛好家。 「自転車組立はプラモデルみたいで面白そう」という直感をきっかけに、ロードバイクの世界へ。 現在は、自転車の組立(バラ完)・メンテナンス情報のほか、10年以上続くフェリー輪行旅の記録、さらに家電修理などのライフハックも発信中。 「自分の手で直して楽しむ」をモットーに、初心者でも真似できる等身大のDIY記録を綴っています。
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