「もう限界…」相次ぐ自転車屋の閉店と、ロードバイク業界が“悲惨”と言われる5つの理由
「憧れのロードバイクを手に入れたいけれど、最近ショップがどんどん閉まっている気がする…」 「ロードバイク業界はもう終わりなの?」
そんな不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。かつての「弱虫ペダル」ブームや、コロナ禍での「密を避ける移動手段」としての特需はどこへやら、現在の自転車業界、特にスポーツサイクルを取り巻く環境は「悲惨」と表現されるほど過酷な状況にあります。
なぜ、街の自転車屋さんは消えていくのか?なぜ、華やかだったロードバイク業界は苦境に立たされているのか?その真実に迫ります。

街の自転車屋が消える「閉店」のリアル
帝国データバンクなどの調査によると、自転車小売業の倒産や休廃業は近年高い水準で推移しています。その主な理由は、単なる「自転車離れ」だけではありません。
「修理」だけでは食っていけない実態
多くの個人店はパンク修理などの工賃が主な収入源ですが、物価高騰によるパーツ代の値上がりや、複雑化した最新モデルの整備に必要な設備投資(電子シフトの診断機など)が経営を圧迫しています。
後継者不足と店主の高齢化
昭和のブームを支えた店主たちが引退時期を迎えていますが、低い利益率と過酷な労働環境から、跡を継ぐ若者が現れないケースがほとんどです。
ネット通販(EC)との価格競争
タイヤやチューブといった消耗品を海外通販で購入するユーザーが増え、店舗での物販利益が激減。さらに「持ち込み修理お断り」という苦渋の決断をする店が増え、顧客離れを招く悪循環に陥っています。
ロードバイク業界が「悲惨」と言われる5つの元凶
かつてのキラキラしたイメージは影を潜め、現在の業界は深刻な冷え込みを見せています。
異常なまでの「価格高騰」
数年前まで「中級者の入り口」と言われたスペックのバイクが、今や100万円を超えることも珍しくありません。円安や原材料費の高騰により、初心者が気軽に始められる趣味ではなくなってしまいました。
コロナ特需の「反動」と在庫過多
コロナ禍で世界的に需要が爆発し、メーカーは増産に踏み切りました。しかし、物流が正常化した頃にはブームが沈静化。現在は「過剰在庫」に苦しむメーカーや大型店舗が相次ぎ、一部では投げ売り状態のセールが行われる一方で、定価で仕入れた個人店が立ち行かなくなる事態が発生しています。
「承認欲求」の戦場化とマウント文化
SNSの普及により、「より高い機材」「より速いタイム」を競い合う風潮が強まりすぎました。ブランドや機材の価格で優劣を競う「マウント文化」に疲れ、健全な趣味として楽しめなくなったユーザーが次々と離脱しています。
日本の道路環境とのミスマッチ
グラベルバイクなどの新ジャンルが提唱されていますが、日本では走れる未舗装路が限られており、都市部の道も自転車に優しいとは言えません。走る場所の制約が、新規ユーザーの継続を妨げています。
e-Bike(電アシ)へのシフト失敗
世界的にはe-Bikeが市場を支えていますが、日本の法規制(24km/h制限)下では、海外のような高性能e-Bikeの魅力を十分に発揮できず、新たな収益の柱になりきれていません。
業界の「夜明け」は来るのか?
悲惨な状況が続くロードバイク業界ですが、希望がないわけではありません。 現在、生き残っているショップは、単なる「販売店」から、「コミュニティ作り」や「高度な技術サポート」に特化したサービス業へと進化しています。
「安く買う」ことだけが目的の時代は終わり、これからは「誰から買うか」「どう楽しむか」という本質的な価値が問われる時代になるでしょう。
本記事の執筆にあたり、以下の動向やデータを参考にしています。
- 帝国データバンク(TDB): 「小売業者の倒産動向調査」
- 物価高に伴う消費者の買い控えや仕入れ価格の上昇が、自転車小売を含む小規模店を直撃している実態が報告されています。
- 経済産業省(METI): 「工業統計・動向」
- 国内の自転車出荷台数の推移や、高価格帯へのシフトによる二極化についてのデータが示されています。
- 自転車専門メディアの分析:
- CYCLING-HIRAMOTO などでは、日本国内のロードバイク不振とショップの閉店ラッシュについて、現場視点での詳細な考察がなされています。
- 海外フォーラム(Reddit等)の議論:
- Reddit /r/bicycling などでは、日本のみならず世界的なLBS(街の自転車屋)の危機とECサイトの台頭についての議論が交わされています。

