回らないホイールに喝!SHIMANO WH-RS80をDIYオーバーホールで復活させた話

「DURA-ACEと比べて、なんでこんなに回らないの?」
相方さんのホイールと乗り比べて、明らかに感じた“回転の重さ”。
そういえばこのSHIMANO WH-RS80、購入してから一度もオーバーホールしていなかったことを思い出し、
今回は思い切ってフロント・リアともに分解&グリスアップを実施しました。
使ったのは、DURA-ACEグリスと市販のスチールボール。
ベアリングのサイズ違いや、グリスの盛り方、玉当たり調整のコツなど、
実際にやってみて気づいたポイントや注意点を、写真とともにまとめています。
🛠️ この記事でわかること
- WH-RS80のフロント&リアハブの分解手順
- ベアリングサイズの違いと個数の確認方法
- グリスの選び方と塗布のコツ(アイススプーン活用術)
- 玉当たり調整で“回転の軽さ”を取り戻す方法
- オーバーホール後の走行インプレッション
ホイールの回転が悪い…DURA-ACEとの違いに驚愕!RS80の限界か?
相方さんがDURA-ACEホイールを手に入れたことで、
ワタクシの愛用ホイール「SHIMANO WH-RS80」との回転性能の差が歴然に。
手で回しただけでも、スムーズさ・伸び・静かさがまるで違う――これはさすがに気になります。
グレード差だけでは説明できない“重さ”
- 「DURA-ACEとRS80じゃグレードが違うし…」と割り切ろうとしたものの、
- RS80の回転が“悪すぎる”レベルで、抵抗感や引っかかりを感じるほど
思い返せば…オーバーホール未実施!
- 購入から数年、一度もハブのオーバーホールをしていなかったことに気づく
- グリスの劣化やベアリングの摩耗が進んでいても不思議ではない状態
ホイールの回転が悪い=グリス切れやベアリング不良のサイン。
時間がない中でもやり切る!
限られた時間でも、正しい手順と準備があればDIYオーバーホールは可能
週末の朝練に向けて、平日のうちに作業を完了させる必要あり
チャンス到来!静かな夜に“しめしめ”とフロントハブのオーバーホール開始
相方さんが夜に出かけるタイミングを見計らって、
「今しかない!」とばかりにWH-RS80のフロントハブのオーバーホールを決行。
静かな夜に、工具の音だけが響く――そんなDIY時間もまた至福ですね。
作業スタート|まずはフロントホイールから分解
- 使用工具:17mmの薄口スパナ+モンキーレンチ
- 片側のロックナットを外し、反対側からシャフトをスッと抜き取る
ボールベアリングの状態チェック|グリスが茶色に変色…!
- 本来は緑色のDURA-ACEグリスが入っているはずが、
→ 茶色く変色し、粘度も落ちている状態 - ボール受け側も同様に変色しており、グリスの劣化と異物混入が進行していたと推測
パーツクリーナーで洗浄|ゴミ混入も確認
- 洗浄後、グリスに混ざっていた黒い粒状の異物を発見
- おそらく、金属摩耗粉や外部からの微細な砂粒と考えられる
- すべてのパーツを丁寧に洗浄・脱脂し、ピカピカの状態にリセット
ベアリングとベアリング受けに“傷なし”を確認|状態は良好!
分解・洗浄を終えたあと、ボールベアリングとベアリング受けの状態を丁寧にチェック。
結果は――どちらにも目立った傷や摩耗は見られず、状態は良好でした。
グリスはたっぷり!“盛る”ことが回転性能を左右する第一歩
洗浄とチェックを終えたら、いよいよ元の状態に戻す作業=グリスアップとベアリングの再装着です。
ここでのポイントはただ一つ――グリスは惜しまず、たっぷりと!
アイススプーンは…使えなかった!指が最強説
- アイスクリームを買ったときにもらえる小さなスプーンをグリス塗布用に保管していたものの…
→ サイズが微妙に大きくて、ベアリング受けにうまく入らず断念 - 結局、指で直接盛るのが一番楽で確実という結論に
→ 指先の感覚でグリスの厚みや塗りムラも調整しやすい
ベアリングを11個ずつ丁寧に配置|フロントハブの基本構成
- グリスをたっぷり盛ったら、ボールベアリングを1個ずつ慎重に並べていきます
- WH-RS80のフロントハブは、左右それぞれ11個ずつ(計22個)が標準構成
- 片側を終えたら、反対側も同様にグリス→ベアリング配置の順で進行
“グリスの量”と“ベアリングの配置精度”が、回転性能と耐久性を大きく左右します。
写真は断念…でも作業は順調に進行!“玉当たり調整”で仕上げへ
作業中は手がグリスまみれになるため、その都度手を洗って写真を撮るのは現実的ではなく、
このあとの工程は写真なしで一気に仕上げることにしました。
でもご安心を――作業は順調に進み、いよいよ仕上げの“玉当たり調整”へ。
玉当たり調整とは?|回転の軽さとガタつきのバランスを取る最終工程
- 玉当たり調整は、ベアリングと玉押し(コーン)の接触圧を微調整する作業
- 緩すぎるとガタつきが発生し、締めすぎると回転が重くなる
- 最適な状態は、手で回したときにスムーズで、かつガタがない状態
調整のコツ
- クイックリリースを締めた状態で最終確認するのがポイント
→ 締め付けによって玉当たりが変化するため - ほんのわずかに“遊び”があるくらいで締めて、クイックで締めたときにピタッと収まるのが理想
玉当たり調整は“ホイールの命”とも言える重要工程。
リアホイールも同様にオーバーホール|スプロケットを外して作業開始
フロントハブの作業を終えたら、続いてリアホイールのオーバーホールへ。
こちらも基本的な流れは同じですが、スプロケットの取り外しが必要になる点が異なります。
スプロケットを外して作業スタート
- ロックリング工具とチェーンウィップを使ってスプロケットを取り外し
- 事前にスプロケットを洗浄していたため、見た目もスッキリ綺麗な状態で作業に入れました
リアハブの構造もフロントとほぼ同様
- スプロケットを外したら、フリーボディ側からシャフトを抜き、ベアリングを取り出す
- リアは左右それぞれ9個ずつのボールベアリングが使われており、フロントよりも少し構成が異なります
リア側はスプロケットの脱着がある分、作業工程が1ステップ多いですが、基本はフロントと同じ流れ。
リアハブの状態は想像以上に深刻…グリス切れ&汚れが顕著に!
リアホイールの作業も、手がグリスまみれになるため写真は断念。
ですが、分解してみると、フロント以上にグリスの劣化と汚れが進行していたことが判明しました。
リアハブのグリス状態チェック
- グリスがほとんど残っておらず、乾き気味の状態
- おそらく、シールの劣化や隙間からの漏れが原因で、時間とともに流出したと推測
- 残っていたグリスも、黒く変色し、金属粉や異物が混ざっているような状態
リア側は駆動系の負荷が大きいため、劣化が進みやすい
- フリーボディやスプロケットが接続されるリアハブは、回転+トルクの負荷が集中
- そのため、フロントよりもグリスの消耗や汚れが早い傾向にあります
- 定期的なチェックと、早めのグリスアップが重要
「リアの方が汚れている」は、メンテナンスの優先順位を見直すサインかもしれませんね。
リアハブの分解には“15mm薄口スパナ”が必須!ベアリングは左右9個ずつ
リアホイールのオーバーホールでは、専用工具の準備が作業効率と安全性を左右します。
特にWH-RS80のリアハブは、15mmの薄口スパナがないとロックナットにアクセスできません。
必要な工具:15mm薄口スパナ
- 通常のスパナやモンキーレンチでは厚みが干渉してナットに届かないため、
→ 専用の“薄口”タイプが必須 - 1本持っておくと、他のシマノハブの整備にも流用可能
リアハブのベアリング構成|左右9個ずつでフロントと異なる
ホイール | ベアリング個数 | ベアリングサイズ |
---|---|---|
フロント | 左右11個ずつ(計22個) | 3/16インチ(約4.76mm) |
リア | 左右9個ずつ(計18個) | 1/4インチ(約6.35mm) |
- リアはフロントよりも大きめのベアリングを使用
- サイズが異なるため、購入時は型番と寸法を要確認
“工具の選定”と“ベアリングの個数・サイズの把握”が、リアハブ整備の成功を左右します。
作業完了!前後合わせて約1時間、経験が活きたスムーズなオーバーホール
今回のWH-RS80ホイールのオーバーホール作業は、フロント・リア合わせて約1時間で完了。
分解・洗浄・グリスアップ・玉当たり調整まで、一連の工程をテンポよく進められたのは、過去の経験があったからこそです。
“手組ホイール経験”が活きた瞬間
- 以前に手組ホイールを組んだ経験があり、ハブの構造やグリスアップの手順に慣れていた
- 玉当たり調整の感覚や、ベアリングの扱い方も体が覚えていたため、迷いなく作業を進行
- 「あれ?もう終わった?」と感じるほど、スムーズで気持ちの良い整備時間に
経験は最高の時短ツール
DIYメンテナンスは、やればやるほど“次が楽になる”のが魅力ですね。
ノーメンテはNG!RS80も定期的なオーバーホールで蘇る
このWH-RS80ホイール、Kzumiさんが購入してから4年以上ノーメンテ状態だったとのこと。
さすがにここまで使い込めば、グリスの劣化やベアリングの摩耗は避けられません。
やはり、定期的なオーバーホールは必須ですね。
DIYメンテナンスは意外と簡単!DURA-ACEグリスの出番です
- 「買ったはいいけど、DURA-ACEグリスの使い道がない…」という方も、
→ ホイールのオーバーホールをすれば一気に消費できます! - グリスアップは作業の満足感も高く、回転性能の変化も体感しやすいのでおすすめ
乗り心地の変化が楽しみ!週末ライドで実走チェックへ
- オーバーホール後のホイールは、手で回しただけでも軽さが違う
- 実際の走行で、登坂や巡航時の伸び感がどう変わるかを試すのが楽しみですね
オーバーホールだけでは不十分?→ 部品交換でさらなる改善へ
- 今回は、オーバーホールだけでは完全に解決しなかったため、フリーボディやベアリングの交換も実施
- “回らない原因”を突き止めて、必要なパーツを交換する判断力がDIYメンテナンスの醍醐味

オーバーホールで感じた、“手をかける価値”と“走りの変化”
回転の重さは“グリスの劣化”が原因だった
DURAホイールと比べて明らかに重かったRS80。
分解してみると、グリスはほぼ消え、ベアリングも乾き気味。
「そりゃ回らんわ」と納得しつつ、新しいグリスをたっぷり補充しました。
ベアリングのサイズ違いに注意
フロントとリアでベアリングのサイズが異なるため、
事前に個数とサイズを確認しておくのがポイント。
今回は左右9個ずつで、ピンセットで丁寧に並べる作業が地味に楽しい時間でした。
玉当たり調整で“スーッと回る”感覚が戻る
グリスアップ後は、玉当たり調整で回転の軽さを微調整。
「ちょっと締めすぎたかな?」という感覚も、何度か試走してベストな位置を探るのがDIYの醍醐味です。